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ライドシェア最大手の「滴滴(DiDi)」は北京市で11月16日夜、世界初のネット配車サービス専用自動車「D1」を発表した。D1は12月に長沙市で運用開始となる予定だ。
D1は滴滴と電気自動車大手の「比亜迪(BYD)」が共同開発したもので、滴滴専用の設計が随所に盛り込まれている。
「滴滴」ブランドの自動車
滴滴の程維CEOは、「車を保有しなくても快適なモビリティを体験できることが理想」だと語る。程氏は2025年までに、滴滴でD1を100万台運用することを目標としている。また、滴滴社内では自動運転の開発も進んでおり、2030年までに運転席のない車両の提供を見込んでいる。それに伴い、モビリティに占めるライドシェアの比率も高まるため、程CEOはその比率を現在の3%から30%に引き上げたいとしている。
車両の設計において、D1はコンパクトカーサイズでありながら、乗客の快適さが最優先に考えられている。後部座席は非常に広く、男性でも足が組め、3人乗っても窮屈に感じない。リアドアには日本のタクシーでよく見られるスライドドアを採用。中国市場で販売されるコンパクトカーでスライドドア搭載は初めてである。
車両の利便性においては各種の工夫がなされている。D1は18カ月ごとにシステムのアップデートを行い、最新の状態に保つ予定だ。乗客は滴滴アプリを使えば、配車時に車内のエアコンの温度、風量、シートヒーターのオン・オフを選択でき、運転手が操作する必要はない。
運転席には、長時間の運転でも疲れないように、やや固めのシートを採用した。電動ランバーサポート、アームレストも標準装備され、快適な運転ができるようになっている。走行以外の車両操作の多くは、ボイスコントロールで行うことになる。また、バッテリー残量が20%以下になると、自動的に近くの充電スタンドを検索し、そこへ行くようにナビルートを表示する。
セキュリティ装備も一通り揃っている。レーンキープアシストやステアリングの振動によるアラート機能は標準装備だ。ネット配車専用の機能として、ステアリングに「滴滴」というボタンがあり、それを押すとオーダーを受注することができる。スマホを操作する必要がなくなるため、脇見運転のリスクが軽減できるだろう。
滴滴の新しい挑戦
程CEOは、D1を車として販売するのではなく、走行距離に応じて運転手から料金を徴収する形を取るとした。つまり、運転手は固定費なしでライドシェアを始めることができることになる。滴滴が負担する車両調達のコストは、仮に2025年までに100万台という目標を達成できれば、標準化した車両を大量生産することになるため、大きく下がるだろう。BYDとしても、新エネ車販売台数の大きな上乗せが期待できる。
滴滴は2018年初めから、モビリティサービスプラットフォーム主導で車両を開発する計画を展開してきた。業界関係者によると、この開発手法が完全に定着すれば、自動車メーカーはモビリティサービスプラットフォームのサプライヤーになり、自動車産業全体の構図が一変するという。
したがって、滴滴のライバルは同じモビリティサービスプラットフォームだけではなく、モビリティサービスを展開しようとする自動車メーカーすべてだ。自動車メーカーと比べ、滴滴は膨大なデータと利用者を持っていることが強みだ。滴滴によると、同社のプラットフォームには3100万台以上の車両が登録されており、D1の開発は、これらの車両の運転手の声や、数億人に上る利用者のフィードバックをもとに行われており、モビリティの問題点を真に解決できるものだという。
滴滴は今年4月に、新たな中期目標として、3年後に国内のモビリティ市場での浸透率8%、全世界での利用件数1日1億件、全世界での月間アクティブユーザー8億人以上を掲げた。それを実現するための重要なツールがD1である。この車両が滴滴をより明るい未来に運ぶのか、期待をこめて見ていこう。
(翻訳:小六)
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