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11月17日、テンセントがAIによる医療技術の新発見を公表した。抜け毛などの原因の一つとされる2型5-α還元酵素「SRD5A2」のタンパク質構造が、世界ではじめて解析されたのだ。この発見は、抜け毛の有効な治療薬の開発に繋がるものだ。
SRD5A2は「DHT(ジヒドロテストステロン)」という男性ホルモンの生成を促すものだ。DHTは人体の成長と活動にとって重要だが、量が多すぎると前立腺肥大や抜け毛を引き起こすことがわかっている。
そのため、SRD5A2を抑制することで、DHTの生成を減らし、前立腺肥大と抜け毛を防ぐ治療法がある。SRD5A2の阻害薬としては、「フィナステリド(finasteride)」が広く使われている。
ところが、SRD5A2の働きやフィナステリドが有効だということはわかっているが、SRD5A2の詳細な構造はこれまで不明であり、フィナステリドが効果を発揮するメカニズムもわかっていなかった。
テンセントの発見は、テンセントの「AI Lab」が開発した「tFold」というツールを使って、SRD5A2の立体構造を解析したものである。これにより、フィナステリドのメカニズムも解明された。抜け毛治療の進歩だけでなく、関連疾患の病理学研究や治療薬の改善にも繋がるものである。この研究成果は学術雑誌ネイチャーの関連誌である「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」に掲載された。
今回の発見は、テンセントのAI Labとテンセントクラウドを使ったAI主導の創薬プラットフォーム「雲深智薬(iDrug)」によるものだ。これは、医療・ヘルスケア分野でのAIの実用化の好例である。調査会社の「艾媒数拠中心(data.iimedia.cn)」の集計によると、2019年末現在、中国のAI産業の規模は510億元(約8100億円)であり、2025年には4000億元(約6兆4000億円)に成長するという。医療分野でのAIの実用化例も急増してくるだろう。「AI+医療」をめぐる有力企業同士の激しい競争が目前に迫っている。
(翻訳:小六)
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