超過熱の中国のオンライン教育、2020年投資総額は1兆円超 アリババなどIT巨頭参入

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業VC注目記事

超過熱の中国のオンライン教育、2020年投資総額は1兆円超 アリババなどIT巨頭参入

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

2020年最後の1カ月余りの間に教育関連大手企業が調達した金額は驚異的だ。

「作業幫(zuoyebang)」はシリーズE+で16億ドル(約1600億円)を、子ども向けプログラミング教育の「編程猫(CODEMAO)」はシリーズDで13億元(約200億円)を調達し、「好未来(TAL)」は著名テック系PE「シルバーレイク(Silver Lake)」などからプライベート・プレースメントで33億ドル(約3400億円)を調達することで合意、「猿補導(Yuanfudao)」も「雲鋒基金(Yunfeng Capitall)」から3億ドル(約310億円)を調達した。

データ会社「IT桔子」によると、2020年には教育市場で223件の資金調達が行われ、調達総額は680億4000万元(約1兆円)という。調査会社「艾媒諮詢(iiMedia Research)」も、2020年のオンライン教育の市場規模を4800億元(約7兆7000億円)に達するとしている。

資料作成は「識微科技」

ヒートアップするオンライン教育市場は大手IT企業を引きつけた。2020年、大手IT企業が次々に教育事業を新設、急成長しているオンライン教育が自社の新しい成長の柱になるよう期待した。

参入したIT大手企業には、TikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)、バイドゥ(Baidu)、アリババ(Alibaba)、テンセント(Tencent)、ネットイース(網易)、ソーシャルEC拼多多(Pinduoduo)、ライドシェア滴滴出行(Didi Chuxing)などがある。

数年前から1対1のオンライン教育モデルはあったが、最近では少人数クラスや大規模クラスなども増え、対象も啓蒙教育、K12教育、職業教育などと細分化しており、IT大手も参入したものの影響力を形成するには至っていない。

2020年になると、オンライン教育各社はソフトウェアやハードウェアの開発を強化し、講師の確保や授業モデルの改善を行って、多面的で力を蓄え攻勢に出る。このことが大手企業のオンライン教育参入意欲に拍車をかけた。

2020年、教育への取り組みが最も注目されたのはバイトダンスだ。 同社の教育事業部門トップの陳林氏はかつて「今後3年間にバイトダンスは教育事業に巨額の投資を行う」と述べていた。

バイトダンスは他社に比べて自社の教育エコシステムに投資先の事業を取り込む傾向が強い。

2020年12月31日現在、バイトダンスが投資している教育ブランドには、知育教材「你拍一 数理思維(NPY Mathematical Thinking)」、学習支援ハードウェア「大力智能(Dali Smart)」、K12(幼稚園~高校卒業まで)の学習をサポートする教育サービスプラットフォーム「極課大数拠(FCLASSROOM)」などがある。2020年10月には、自社が抱える教育関連製品「清北網校(Qingbei)」「GoGoKid」「瓜瓜竜(Guagualong)」「開言英語(OpenLanguage)」、極課大数拠や学習支援ハードウェアなどを整理統合し、新たなブランド「大力教育(Dali Education)」を設立している。

バイトダンスはプロモーションやマーケティングにも多額の投資を行う。オンライン教育会社でマーケティングディレクターを務める張雲氏は「去年、『瓜瓜竜英語(Guagualong English)』はバイトダンスの短編動画アプリ『抖音(Douyin、TikTokの中国国内版)』上に毎日、広告を配信していた。150万~200万元(約2400万~3200万円)くらいかけたのではないか」と語っている。

アクセス獲得のために大金を投入するバイトダンスと違い、アリババは現存のトラフィックで教育事業を発展させている。傘下のタオバオが発表した「一億新生計画(新しい生徒を1億人確保する計画)」では、8億人のアクティブユーザー、ライブストリーミング、マーケティング、ミニプログラムなどのツール、レコメンデーションを駆使してオンライン教育インフラをリニューアルし、今後3年間で1000社以上の家庭教師養成や有料知識配信を行う機関がそれぞれ10万人以上の新しい学生を獲得できるよう支援するという。また、上半期にリリースしたオンラインQ&Aアプリ「帮帮答(Bangbangda)」はいくつもの大学から推奨を受けている。

テンセントの投資意欲はさらに旺盛だ。 2020年3月以来、テンセントは猿補導、ビデオサービスでオンライン授業を支援する「百家雲(Baijiayun)」、子ども向けのオンライン教育サービス「火花思維(Spark Education)」などの教育トップ企業に投資してきた。

2019年、テンセントは事業再編で教育ブランドを立ち上げ、既存の教育アプリ「英語君」「騰訊課堂(テンセントクラス)」やクラウドストレージサービス「微云(Weiyun)」、オンライン翻訳サービス「翻訳君」などの事業を統合、2020年には「騰訊会議(テンセントミーティング)」や「騰訊作業君(テンセント宿題くん)」などの学習支援アプリもリリースする。

テンセントは7年余りの間に幼児教育から職業教育まで教育ラインナップを充実させてきた。

バイドゥは2020年に教育分野の情報化を進めたほか、スマートディスプレイ「小度在家」に子供向け機能とコンテンツを追加するなどインテリジェントロボットに力を入れ、教育向けハードウェアのエコシステムを形成してきた。

小米CEOで「順為資本(Shunwei Capital)」創業パートナーでもある雷軍氏は、12月4日にWeChatの個人アカウントで、K12向けスマート教育プラットフォーム「一起教育科技(17zuoye)」のナスダック上場に祝辞を述べている。

この大変革は2020年で終わるはずがない。2021年には他の教育機関も加わり、競争は激化するだろう。どの企業も今、備えを万全にしておかなければなるまい。

(翻訳:永野倫子)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録