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IDaaS(Identity as a Service、アイデンティティ管理をクラウド上で行うサービス)を手掛ける「Authing」が、プレシリーズAで500万ドル(約5億円)を調達したことがわかった。出資者は「紀源資本(GGV Capital)」で、「遠識資本(Foresight Capital)」が財務アドバイザーをつとめた。同社は新型コロナ禍の最中のエンジェルラウンドで数千万元(約数億円)を調達している。
Authingは、2019年に社名と同じIDaaSをローンチし、中国初の開発者支援に特化したIDaaS企業となった。アプリケーションを利用するために必要な認証、アクセス権限の付与、ユーザー管理などを行うことができる。同社は自身をクラウド・コンピューティングのインフラの一環と位置づけている。
企業のデータや業務がクラウド上で行われることはすでに一般的になったが、それ以前のアイデンティティ管理システムを使い続けている企業が多く、不正利用によるデータ漏えい、ローカルシステムのクラッシュによる損失が多発している。IBMの集計によると、2019年のデータ漏えいによる損失は一件あたり386万ドル(約4億円)に上るという。AuthingのIDaaSは、デジタル・トランスフォーメーションに伴って発生するようになったこうした問題を解決するためのものだ。
Authingは標準化された製品で、シングルサインオン、アダプティブ多要素認証、ソーシャルログイン、ポリシーに基づく認可の集中管理、監査機能などを持つ。それらによる、従業員や外部関係者のアイデンティティ管理、既存のアプリケーションとの互換性の実現、新たなアプリケーションの開発などが可能だ。
同様のIDaaSは多数あるが、Authingはクラウドネイティブ(クラウドサービスを利用して構築された、クラウドでの運用を前提としたサービス)であることと開発者向けを中心にしていることが特徴だ。中国でクラウドネイティブのIDaaSは現時点でAuthingのみである。また、Authingは開発者向けに、十数のプログラミング言語に対応したSDK(特定のソフトウェアを開発する際に必要なツールのセット)を提供している。
企業のカスタマイズへの要望に対し、AuthingはIDaaSを補完するPaaS(Platform as a Service)を提供している。ここには互換性開発のために必要なツールなど、既存のアイデンティティ管理システムをクラウド化するための各種ツールが揃っており、企業はそこから自社に適した設定や変更を行うことができる。
Authingは中小企業向けでは月額使用料を徴収し、大手企業向けにはカスタマイズされたシステムを提供した上で、年間使用量を徴収する方式を採っている。同社は2020年9月に新しい料金基準を適用し、その後の売上高は月平均500%の速さで成長しているという。金額は公表されていない。
2020年末の時点で、1000万以上の企業従業員や外部関係者がAuthingを利用し、1万以上のシステムやアプリケーションにログインした。認証回数は累計5億回に上る。顧客のなかにはペトロチャイナ、トヨタ、国家電網(State Grid)、アーンスト・アンド・ヤング、仏の広告代理店「ジェーシードゥコー」、イタリアの銀行「ウニクレディト」など世界的な企業が多数含まれている。今回調達した資金は、製品開発とマーケティングに充てられる予定だ。
(翻訳・小六)
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