途家(トゥージア)楊昌楽氏:上場は1〜2年後、来年民泊ブームに

「民泊業界はもっと美味しい思いをしたいと思います。」これは、トゥージアCOO楊昌楽氏のかつての発言だが、トゥージアがIPOという大船に急いで飛び乗ることを意味したものではない。かと言って、トゥージアが何の準備もしていないというわけでもない。中国有数の民泊・短期賃貸を手がける会社は今、むしろ「造船」中である。

「トゥージアのIPOは2019年末か、それより早いかもしれない。ただ、決して急いではいない。」楊昌楽氏は36Krのインタビューにこう答えた。業務規模、健全運営、成長スピードから見て、トゥージアは今の状態でも上場可能と言える。だが、最も重要なのは事業の基礎固めをしっかりすること、他のことは後からついて来ると考えている。

「すでに準備はしている。と言うより、準備というのは継続的なものだから。(IPOの時期など)具体的なことは市場の状況にもよる。」36Kr記者がさらに問い正すと、上場までの猶予期間は1〜2年だと言う。

「この1、2年で始めるのではなく、結果を出します。」

上場する可能性のある取引所について聞くと、トゥージアの株主構成から見て、米国市場もあり得るとのこと。同時に、シェア型宿泊施設業界にとって、米国であろうが、香港であろうが、A株には大して違いはないとの発言も。

「どこで上場するか、IPOでの時価総額がどれくらいになるのか、評価のポイントは何か、いかに民泊業界を発展へと導くか、こういった重要な事柄について、全て明確にお答えできる。今のトゥージアがすべきことは、時間をかけて熟成させ、それから収穫に移ること。」

疾走するユニコーン企業

トゥージアの資金調達履歴を見ると、一年に一度の割合で資金調達に動いていることがわかる。2017年10月10日、トゥージアは3億ドルのシリーズEラウンド資金を調達、時価総額15億ドルとのニュースを36Krでも伝えた。2018年も半分を経過した今、これまでの頻度からすると、新しい資金調達も遠くはなさそうだが。

「投資市場の側から見ると、トゥージアは人気があるようだ。すでに多くの投資家から連絡を受けている。」

現在トゥージアは投資関連の問い合わせを多数受けており、資金調達も前向きに検討中とのこと。ただ、企業価値や市場に不確定要素もあり、最終案も完成していないため、具体的な時期は未定だそうだ。

楊氏は続ける。「昨年調達した3億ドルは、長期の運営資金として十分なもので、各プロジェクトはいずれも計画通り進んでいる。急いで新しい資金調達に走る必要はない。急を要する事態がいつか発生する可能性は否定しないが、その時は資金調達に動く。」

36Krとの今回の会談で、楊氏が最も用いた言葉は「急がない」だった。だが、実際のところ、中国民泊業界のユニコーン企業であるトゥージアは、民泊業界の刷新、業界シェア拡大と、成功への道を一気に駆け抜けて来た。

「あえて控えめ」な業績発表

今年7月16日、トゥージアは最新の業績データを公表した。貸出数は13万泊を突破、全世界での登録宿泊施設数は120万件、2018年間貸出数は3,000万泊を超える見込みだ。業界関係者の試算では、13万泊という数字は、Airbnbと小猪短租とを合計した総数の5倍近いとのこと。

2018年3月1日、トゥージアは「新しいトゥージア新しい旅」と銘打った戦略発表会を行った。シートリップ(携程、Ctrip)民宿、去哪児民宿、トゥージア、螞蟻短租、大魚自助遊で新トゥージアグループを結成したと発表。2018年は2017年を上回る業績アップを目指し、海外実績は30倍とする目標を打ち出した。数カ月が経過した現在、この目標の達成状況について楊氏に聞くと、「国内、海外ともに想定通りの伸びを見せ、一部は予想以上に成果を上げている。」とのこと。

「第2四半期までの国内成長率は5.98倍だが、この数字を5倍として公表した。グループの会社にあまりプレッシャーを与えたくないので。13万泊という貸出数も、13万よりむしろ14万泊に近い数字だ。」

トゥージアの海外業務は、現在そして今後、東南アジア市場に重点を置く。楊氏の言葉を借りると、トゥージアはまず、中国の海外旅行者の宿泊ニーズを第一に考えている。中国人の海外旅行が習慣化するのに伴い、中国人のために海外宿泊施設を発掘する。そして、東南アジアは中国人の旅行先として人気が高い。欧米やその他の地域の民泊やコンドミニアム市場についてはどうか。「欧米市場は、海外家主が海外サプライヤーのサポートを受けているので、現時点でそこに割って入るのは難しい。スタート、つまりトゥージアの0.1歩は、東南アジアから。」

「東南アジアでの助走期間はどれぐらいか」と尋ねると、展望をこう語った。「今の東南アジア市場は、1年ほど前の中国のレベル。中国で基礎を築くのに8~12カ月かかった。これから考えると、東南アジアで根付くには2~3年かかるだろう。ただし、これは私個人の予想。当然変化もあり得るし、結局は市場の成熟度に左右される。」

技術が「偽装ニーズ」を打開

かつての取材で、「トゥージアの当面の課題は、民泊施設の質の向上と正確な施設情報、セキュリティ面だ」と楊氏は話していた。現在、技術的な面から解決に取り組んでいるものもある。

36Krが得た情報では、民泊合法化を推し進めるための対策として、各地の公安部門の協力を仰ぎ、顔認証入室に着手すると言う。顔認証は、ホテルで使用されている分析レベルに相当する技術を用いる。利用者はあらかじめ、実在の人物であることと身分証明書を公安に届け出る。チェックイン時は、入り口で身分チェックを受け、事前に提出された情報と合致すれば入室できるという。

「顔認証入室を導入している所は多いが、公安の認可を得たものは少ない。トゥージアはその一つだ。数だけ見ると、トゥージアは公安の認可を最も多く得た団体だろう。」楊氏は続ける。「顔認証の課題は技術的なことではない。公安部の協力を得られるかどうかだ。」と。

「顔認証の導入を進めている最中だが、すでに十数の省で全面的に協力していただくことになった。」

「新米プレーヤー」が次々と参入し、「ベテランプレーヤー」は新技術によるサービスを全力で模索するという、業界全体の傾向がある。ブロックチェーン、銀行離れ、信用住(信用性の高い顧客なら事前保証金不要)といったキーワードが、業界の発展を指し示す「風向計」となっている。しかし、こういった「風向計」は、必ずしも利用者のツボに当たるものとは限らないと楊氏は考える。

· ブロックチェーンのポイントは、改竄ができず、取引履歴が保証されることにある。だが、旅行業界の問題は、詳細な取引記録の中ではなく、現実的な解決方法を提供することにある。家主と利用者との間でトラブルになった際、決着の半数は本来あるべき形でなされていない。

· 「信用住」の売りは、事前保証金がなく、入室後に預けることだが、先払いでも後払いでも、結局払うことになるのであって、民泊業界で重要なのはそこではない。重要なのは、信用できる情報を通じて、客と家主が互いの信頼性を判断できるかどうかであり、それによって信頼性への不安を打破できる。

「実際のニーズにそぐわない技術を導入したところで、何の意味もない。」楊氏はこう結論づけた。

民泊業界の確かな点と不確かな点

一年前、楊氏とシートリップ代表梁建章氏の両名とも、民泊業界の短期的問題として、良質な宿泊施設の不足を挙げていた。一年後の今、この問題は部分的に解決したと言う。

楊氏によると、一年前の中国国内登録施設数は40万件だったが、今年は80万件に達した。絶対数が倍増したことで、質の問題は緩和されてきていると言う。しかし、利用者側から見ると、質が良いというには程遠く、優良施設を増やすという点ではまだまだ伸び代が存在する。

「後一年ぐらいで、民泊業界は爆発的人気が出る。」楊氏はこう予測する。この見方からすると、トゥージアによる投資やM&A行動は、民泊業界全体の動向と関係しており、将来的にはトゥージアの動きに注目する日が来るだろう。

注意すべきは、これまでAirbnbとトゥージアとの合併話が度々聞こえてきたことだ。トゥージアの当時の返答では、会社上層部が直接接触したことはないとのことだった。Airbnbの責任者も、中国のパートナーは不要との方針を表明した。

今回の会談でも、この質問を楊氏にぶつけてみた。「投資市場に既定路線はなく、トゥージアとAirbnbの接触も多くはない。将来的に合併するかどうか、これはトゥージアのToDoリストでも下位にすぎない。」

業界関係者によると、シェア型宿泊施設の競争はまだ初期段階にあり、今すぐ合併することに、あまり意義はないとの話だった。

関連キーワード

日本企業のDXを促進するプラットフォーム「CONNECTO」
無料コンテンツ公開中

最新記事