ロボットの指先から電池の異常検知まで。フレキシブルセンサーの中国新興、約23億円調達

フレキシブル圧電センサーを手がける中国スタートアップ「霊動佳芯(ZingTech)」(江蘇省蘇州市)がこのほど、シリーズAで1億元(約23億円)近くを調達した。錦秋基金(Jinqiu Capital)や中芯聚源(China Fortune-Tech Capital)などが出資した。資金は主に、AIロボット用やリチウムイオン電池の安全性向上に関する製品開発のほか、海外市場の開拓に充てられる。

霊動佳芯は2021年に設立され、圧電材料と半導体技術をベースとするセンサーソリューションを開発し、ロボットやウェアラブルデバイス、新エネルギー、リチウムイオン電池など幅広い分野に製品を展開している。

同社は設立当初から「成熟市場向け事業」と「先端技術」という二本柱のアプローチで事業を進めてきた。成熟市場であるサービスロボット分野については、中核材料からシステムまでを完全自社開発したスマート圧電センサーモジュールを打ち出す。集積度や感度、サイズ、消費電力などに優れ、すでに国内外複数の大手ロボット掃除機メーカーのサプライチェーンに組み込まれている。2025年は出荷数が1000万個を突破し、26年は2000万個以上となる見込みで、このニッチ市場をリードする地位を確立している。

先端技術については、とくにフッ素樹脂の一つ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いたフレキシブル圧電センサーの開発に注力する。PVDFは代表的な有機圧電材料で、軽さと柔軟性、屈曲性に加え、幅広い応答範囲などの特性を備えている。圧電体に外力が加わった時に生じる分極変化を利用するため、微弱な力も検知できるという特長を持つ。複雑な曲面への貼り付けや、高密度な分散型センシングに適しているため、電子スキン分野で有望視される材料の一つとなっている。創業者の関賽新氏は、「すでにコアとなる配合技術と製造技術を確立し、PVDFの量産経験のある中国有数の企業となっている」と胸を張る。

同社が打ち出すAIロボット向けPVDFフレキシブルセンサーは、ロボットハンドなどの操作精度と検知能力を高められる製品で、一部の主要顧客への少量出荷をすでに実現した。今後は生産能力を拡大し、出荷量を本格的に増やす計画だ。

また、リチウムイオン電池の安全に関する事業展開も進めている。独自開発したPVDFベースのフレキシブル超音波モニタリングソリューションを電池に内蔵することで、生産・使用・充電の各工程をリアルタイムで監視し、異常を早期に検知・警告できる。関氏は「リチウムイオン電池の安全上のリスクを根本から抑えることを目指す」と語る。現在、国内大手電池メーカーとの協業が進んでおり、2〜3年以内に量産体制を整える見込みだ。

海外展開もスタートしており、1年余りかけて海外企業10社近くと商談し、最初の受注を獲得。一部のプロジェクトはすでに試作・検証の段階に入っている。海外では、圧電超音波センサーを手始めに、触覚関連製品の市場導入を推進する方針だ。

*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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