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2021年3月12日、上海証券取引所はAIユニコーン企業「MEGVII(曠視科技、メグビー)」の上場申請を受理したことを発表した。同社は2019年8月に香港証券取引所に目論見書を提出しており、今回は1年7カ月ぶりに事業の現状や財務データなど公表したことになる。
財務データを見ると、2017〜2019年のメグビーの売上高はそれぞれ3億元(約50億円)、8.5億元(約140億円)、12.6億元(約210億円)となっており、年平均成長率は104%。昨年は新型コロナ禍の影響もあって、第3四半期までの売上高が7億元(約120億円)だった。
売上高は伸びているが、他のAI企業と同様、メグビーの赤字は巨額だ。上記期間の赤字はそれぞれ7.7億元(約130億円)、28億元(約480億円)、66.4億元(約1100億円)、28.5億元(約480億円)だった。
AI企業にとって、最も大きな支出は開発費であり、メグビーもその例にもれない。2017年のメグビーの開発費は2億元(約34億円)超で、売上高の66.5%を占めていたが、2019年には104.16%に急増。つまり、売上高のすべてを開発に充てても足りないということである。
2012年創業のメグビーは、スマホの顔認証技術からスタートした。現在同社の事業分野は主にスマホ、スマートシティ、サプライチェーンの3つに分かれている。
スマホ向け事業は2012年の創業時から始まっており、現在は開発者、法人向けのSaaSを提供している。これまで数億台のスマホが同社のセキュリティ技術や写真アルゴリズムを利用した。
スマートシティ事業は2015年に始められた。AI監視カメラを中心に各種デバイスやコンピュータビジョンアルゴリズムを開発し、現在数十のデバイスを抱えている。中国国内では100以上の都市が同社のスマートシティソリューションを利用しており、海外でも十数カ国で事業を展開している。
2017年からはサプライチェーンでのIoT事業にも参入し、スマート物流オペレーションシステムの「河図」を発表。さらに独自のAMR(自律型協働)ロボット、SLAM(自己位置推定とマッピングの同時実行)ナビゲーション自動フォークリフト、AIスタッカーなどを開発した。この事業の顧客はアパレル、製薬、製造業、ECなど多岐にわたる。
上記の3つの事業のうち、スマートシティ事業の成長が最も早い。売上高は2017年の1.6億元(約27億円)から2019年度8.3億元(約140億円)に増え、事業全体に占める比率は52%から66%に上昇した。
スマホ向け事業の売上高は2017年の1.5億元(約26億円)から2019年の3.6億元(約61億円)に増えた。サプライチェーン事業は開始からまだ間もなく、集中度が低い状態だ。
メグビーに関しては、昨年も科創板(スターマーケット)での上場を目指すことが報じられていたが、その後は音沙汰なしだった。今回は正式に申請したことになるが、昨年よりも上場が難しくなっているのが現状だ。
昨年11月にアントグループが上場直前に延期となった後、すでにスマホメーカーの「柔宇科技(Royole)」、音声認識の「雲知声(Unisound)」、AIの「依図科技(Yitu Network Technology)」が科創板での上場申請を撤回した。投資家からは、「上海証券取引所の審査が厳しくなり、特に開発費の計算方法や比率をより厳格に求めるようになった」との声が上がっている。
また、上海証券取引所がIPOを申請した企業の情報公開について行った抜き打ち検査で、科創板での上場を申請した9社に対し業務の現場査察を行う旨を書面で知らせたところ、7社が申請を撤回するか、保証推薦人が保証推薦を撤回した。上海証券取引所はこうした事態を重く見て、詳しく調べているという。
(翻訳・小六)
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