なぜかシェアしてしまう心理テストや性格診断、得するのは誰?

「あなたは周囲の人から賢者タイプの性格と見られています。一方、本当の性格は愚者タイプです。このような性格に分類されるのは全体の5%。希少です」

このような回答が瞬時に得られる心理テストや性格診断の類を、SNS上でよく見かける。友人が診断結果をシェアしているのを見たことがある人もいるだろう。

中国では、心理テストや性格診断の形式をとったスパム広告が流行している。友人の誰かが引っかかれば自分のタイムラインに表示されるので、拡散が止まらない。最近では、音楽再生サービスの「網易雲音楽(NetEase Cloud Music)」とモバイルゲームの「Identity V 第五人格」がコラボして性格診断テストをSNS上に投入し、「拡散を誘導するもの」として警告を受けたばかりだ。この性格診断テストは、それぞれの性格に合った1曲を薦めるというものだった。

網易雲音楽とIdentity Vによる性格診断テスト

星占いであれ心理テストであれ、「本当の自分を知ってほしい」「誰かに共感してほしい」という人間の心理を上手に利用したこの手のスパムは、一向にすたれる気配もない。

爆発的に拡散する「プロフ画像加工」「占い」「行動分析」

10年ほど前、flashを使ったサイトが流行し始めたころから、この手のゲームは人気だった。現在拡散力の強いものは大きく以下の3つに分類される。

性格診断結果と、性格別オススメの楽曲

■心理テスト、性格診断
承認要求をガッチリ満たしてくれるため、安定の人気と拡散力を保っている。不特定多数に向かって発信するTwitterのようなSNS微博(Weibo)よりも、友人間だけの閉じられたSNS微信(WeChat)でシェアされる傾向がある。また、こうしたコンテンツの診断結果には、ユーザーを批判するような内容はほとんどない。「ケチ」は「高尚」、「浪費家」は「気前がよい」と、表現が「忖度」される。

画像加工アプリ「天天P図」によるコスプレ合成写真

■プロフ画像加工
自分の写真を合成してさまざまな衣装を着せたり、美顔加工を施したりするサービスは、携帯カメラの画素数や画像加工技術の進歩に「自撮りブーム」が加わり、人気が継続中だ。「インスタ映えする」景色や被写体を探すのに疲れてしまった人々でも、スキマ時間でいじれる手軽さがある。

支付宝が予測する2018年の検索キーワードまとめ

■行動分析
クリック、検索、消費などインターネット上でのユーザーの行動を集積・分析し、ライフスタイルを総括する。インターネットの接続時間が長くなり、日常生活で多くのウェイトを占めるようになった現在、オンライン上での行動はより「リアルな自分」を映し出してくれるものになっている。自伝小説でもできるのではないか?というくらいの情報が積み上がっているかもしれない。しかし、こうしたデータを扱えるのはそれなりの技術や規模を備えた企業のみだろう。

網易雲音楽による「2017年のプレイリスト」

行動分析の事例を2つ、紹介しよう。ひとつは前出の網易雲音楽だ。2017年末、「今年のプレイリスト」として、個々のユーザーの再生履歴から楽曲の再生回数ランキングや音楽の嗜好をまとめた。もうひとつは、モバイル決済アプリの支付宝(Alipay)がユーザーに提供した「今年の家計簿」だ。オンラインショッピング、公共料金などの支払い、友人への送金など、年間の支出を項目別に表示し、消費傾向を分析した。

爆発的に拡散したその後

ただし、拡散しただけでは広告効果は得られない。拡散した後が企業にとっては重要だ。

画像加工のお試しサービスはアプリの購入につながるとして、心理テストの類はどのようにブランド認知につなげるのか。冒頭で紹介した網易雲音楽とIdentity Vによる性格診断はユーザーの好みの楽曲を提案することで一定のPR効果を得ているかもしれない。一方スマホゲームはどうだろう。シェア画面の最下部に記されたゲーム名は、どれほどの宣伝力を持っているだろうか?

性格診断や心理テストの診断結果は、真実の自分というより「他人に見せたい自分」を表している。「みんなに知らせたい」というユーザーの心理を鋭く突いた手法で拡散につながっている。数問の設問に回答しただけで結果の得られる心理テストは単なる暇つぶしでしかなく、学術的な信用性については考えるまでもないだろう。それでもユーザーは小さな満足感が得られ、あるいはちょっとした遊びになり、企業側はPRの機会となりうる、Win-Winの宣伝ツールなのかもしれない。

関連キーワード

日本企業のDXを促進するプラットフォーム「CONNECTO」
無料コンテンツ公開中

最新記事