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AI技術開発の「雲従科技(CloudWalk=クラウドウォーク)」が、ついに上場まであと一歩に迫った。上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板(スターマーケット)」は7月20日、同社が上場審査を通過したことを明らかにした。
目論見書の中で、雲従科技は自社を「人とAIの協調型(Human-in-the-Loop)オペレーティングシステムとソリューションを提供するAI開発企業」と定義している。申請書類の事業モデルからも、同社の主な製品やサービスがオペレーティングシステムとAIソリューションの2つに大別されることが分かる。現在、創業者の周曦氏が24%の株式を保有しており、64%の議決権を持つ。
近年の業績を見てみると、売上高は2018年が4億8000万元(約81億円)、2019年が8億1000万元(約137億円)、2020年は7億5000万元(約127億円)と推移している。研究開発費は2018年が1億5000万元(約25億円)、2019年が4億5000万元(約76億円)、2020年が5億8000万元(約98億円)で、売上高に占める割合はそれぞれ30.61%、56.25%、76.59%と増加の一途をたどっている。純損失額はそれぞれ1億8000万元(約30億円)、17億1000万元(約290億円)、6億9000万元(約117億円)だった。
長きにわたり、AI企業の評価額は売上高とかけ離れた状態が続いており、これが上場を阻む要因になってきた。AI分野では依然として激しい競争が続いており、各社は少しでも優位に立とうと、大量のリソースや資金を研究開発に投入し続けている。
実際、雲従科技も目論見書でこのリスクに言及していた。市場競争を勝ち抜くため、今後も研究開発への資金投入を維持する必要があり、短期的には黒字化が望めないうえ、さらなる損失拡大のリスクも拭えていないという。
中国で「AI四小龍」と呼ばれるAI分野のトップ4社が、昨年から上場に向けて動き出してきた。雲従科技のほか「メグビー(曠視科技)」と「依図科技(YITU)」が相次いで目論見書を提出し、どの企業が上場第1号なるのか注目を集めていた。しかし後に科創板の審査が厳格化され状況は一変する。
雲従科技は昨年12月に科創板への上場申請を受理されたが、審査を通過するまで実に7カ月を要した。雲従科技より先に目論見書を提出した依図科技は、今年3月に上場申請を取り下げている。
審査通過までの7カ月間に、上海証券取引所は雲従科技に対して2度のヒアリングを実施した。最初のヒアリングでは株主構成や損失、主要製品などについての聞き取りが行われた。雲従科技側は、現在の経営計画や受注状況などからして、順調に目標を達成できれば2025年には黒字化する見込みであることを説明した。
2回目のヒアリングはデータソースやコンプライアンスに重点が置かれたもので、最近厳格化された個人情報の収集や顔認証の応用範囲などの規制が事業に与える影響や、AI技術の制御性やユーザーのプライバシー保護に関する対策についての聞き取りがなされたという。
このまま滞りなく進めば、雲従科技がAI企業初の科創板上場を果たすことになるだろう。急展開を見せるAI業界で、生き残りをかけた各社の戦いから目が離せない。
(翻訳・畠中裕子)
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