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大気、海洋気象予報および気象関連サービスを手掛けるスタートアップ企業「九方科技(Ninecosmos Sci.&Tech)」がシリーズAで5000万元(約8億5000万円)を調達した。「維思資本(Envision Capital)」が出資を主導した。
同社は江蘇省無錫市にある国立スーパーコンピューティングセンターをルーツとしており、清華大学が出資。中国をリードするスーパーコンピューター、コンピュータシミュレーション、AIの技術を保有するハイテク企業だ。
高性能のコンピューティングプラットフォームを構築
気象サービスは技術的な難易度が高く、開発の周期も長く、大量の人材と資本の投入が必要だ。気象観測のハードウエア、大気、海洋気象のコンピュータシミュレーションのためのアルゴリズムや計算能力にとどまらず、データソースの取得および集約、各業界に対応したソリューションの設計など、多岐にわたって極めて高い能力が求められる。
九方科技は自社開発の気象予報プラットフォームを基に、各業界にカスタマイズした製品を提供する。例えば、大気の環境保護に取り組む業界には空気の質をシミュレーションするSaaS型のクラウドプラットフォームや、地域の汚染源や拡散状況を分析するプラットフォームを提供し、外航海運業界には外航海運に関する気象ナビゲーションプラットフォームを提供する。
国立スーパーコンピューティングセンターをルーツとし、スーパーコンピューター「神威・太湖之光」運営経験のある九方科技は、コンピュータシミュレーションで高い競争力を持つ。現在、同社の大気汚染予報は90%近くの精度を誇り、200メートルメッシュ(200メートル四方)の高解像度での汚染源分析および汚染拡散警報を実現し、すでに北京、山東省、江蘇省などの生態環境関連の政府機関や科学研究院で導入されている。
九方科技は指定海域において800メートルメッシュ(800メートル四方)の高解像度で詳細な大気、海洋気象予報を行い、風、波、海流、海温、塩分、海面高度などに関する気象サービスを提供し、それらはすでに天津港などで利用されている。
売上高倍増の見通し
九方科技は今年外航海運とクリーンエネルギー業界向け事業に注力している。
外航海運業界を例に取ると、世界の外航海運ナビゲーションサービス市場は日本のウェザーニューズとノルウェーのStormGeoの2社によりリードされ、15日間の海運気象サービスの費用は3000~3500ドル(約33~38万円)となっている。船舶関連情報のプロバイダー「クラークソンズ・リサーチ」によると、2021年2月時点で総トン数(GT)が100以上の商船は10万隻を超える。よって、世界の外航海運サービス市場の規模は年間約100億ドル(約1兆円)になる。
また、カーボンニュートラルが叫ばれ、クリーンエネルギーの推進が世界的な潮流になると予想されるなか、九方科技は風力や太陽光資源の観測および評価、異常気象の警報などに引き続き注力する予定だ。
同社の顧客のうち企業と政府のバランスが取れていることは、同社の長期的な成長に資する。2020年の売上高は2000万元(約3億4000万円)を突破し、従業員数も年初の45人から70人以上に増加した。2021年は売上高が倍増する見通しだ。
(翻訳・二胡)
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