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中国では近年、「ペット文化」が徐々に浸透して多くの人々がペットを飼育するようになり、ペット経済も益々活発になっている。
『第一財経ビジネスデータセンター(CBNData)』が発表した『2021年ペットフード産業消費インサイトレポート』によると、2020年は中国のペットオーナー1人当たりの年間消費額が6653元(約11万円)に達し、1人当たりの平均可処分所得の2割を占めた。2019年には、中国最大のECセール「ダブルイレブン(双11)」の輸入商品人気ランキングで、キャットフードが乳児用粉ミルクを抑えて首位に輝いた。これから大きく成長することが期待される新たな市場、中国ペット市場は、ペットに対する出費を惜しまない膨大な数のペット愛好家に支えられている。
数千億元(約数兆円)規模になることが予想されるペット市場には、数多くの大手企業が参入している。また、中国のコンサルティング機関「iiMedia Research(艾媒諮詢)」のデータによると、今年上半期はペット業界で資金調達イベントが25回行われ、調達額は計60億5600万元(約1080億円)に達した。
『2020年中国ペット医療産業白書』によると、ペットの医療費は、ペット市場において23%のシェアを占めている。ペット医療はすでに、ペット市場で2番目に大きな消費カテゴリーとなっているのだ。しかし、高額な医療費や基準の不明確さが、ペットオーナーを悩ませている。
このような状況にオンライン医療が介入すれば、ペットオーナーがペットの病状判断や病院選択をする上での解決策となるだろう。
たとえば、IT大手のバイドゥ(百度)は今年6月に「パーソナルペットドクター」をローンチし、ユーザーに無料のオンライン相談と実店舗での健康診断を提供している。
EC大手「京東集団(JD.com)」はさらに先を行っている。今年10月には、従来の「安心のペット飼育」という戦略をさらにアップグレード。これまでのオンライン個人相談に加え、専任の獣医師、提携動物病院および登録オンライン獣医師3000人以上の協力を得て、7つの診療科を擁するオンライン動物病院を設立。診察前の相談や診察後の管理、オンライン再診、動物病院での検診などをカバーするフルスタックサービスも構築した。
京東の小売部門「京東零售(JD Retail)」でペット事業のゼネラルマネージャーを務める劉露氏によると、京東は来年、オンライン処方機能をローンチし、ユーザーがオンラインだけで一部の軽症疾患に対応できるようにする。特に対象とするのがペット向けの医療リソースが不足している地方都市に住むユーザーだ。また、「厳選動物病院」を追加選定し、これらの動物病院への転院手続きがオンライン上でできるようにするという。
京東は、オンライン動物病院だけでなく、ペット用医療保険証にあたる「ペット用医療カード」も用意し、診察や投薬の費用が高額になり支払いに窮するという問題に対応する。このカードは、京東傘下の「京東金融(JD Finance)」、「京東寵物(JD Pet)」および保険大手「中国平安保険(Ping An Insurance)」グループの損害保険会社「平安財産保険(Ping An Property & Casualty Insurance Company of China)」という3社の提携により実現した。このカードを購入すると、指定病院を受診した際の費用が最大80%が支払われるという。
劉氏は、現在のところオフラインでペット向け医療サービスを提供するのは動物病院と店舗のみで、ペット用薬局などの業態はまだ展開してしないと説明。今後はやオンラインで対応する医師のサービス能力などを活用し、オフラインの業態も強化していく方針を明らかにした。
京東寵物はこれまでにオンラインとオフラインを統合したO2Oストアをすでに1000店舗以上展開しており、今後2年間でそれを1万店舗に拡大する計画だ。
将来的に大きく成長することが見込まれるペット市場において、最大のボーナスにありつくことができるのは、業界をリードし、ルールを確立した企業だけだろう。
(翻訳:浅田雅美)
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