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若者向けサービスアパートメントを運営する「E+青年公寓(E+ Youth Apartment)」が、1億元(約17億円)規模の資金を調達した。リードインベスターは「鵬万資本」。資金は、業務拡充、組織・ブランドの強化、情報システムの構築などに投じられるという。
E+青年公寓は2016年より南京でサービスを開始。2年間で上海、杭州、蘇州、鄭州にも進出を果たし、現在は30軒以上の物件を運営している。創業者の張威加氏によると、南京市内のサービスアパートメントの物件数としては、同社は「魔方公寓(MoFang Apartment)」に次ぐ2位となっている。
E+青年公寓は都市部の若者向けに特化したサービスアパートメント運営企業であり、また、「美しい生活サービス」を提供する企業でもある。同社の理念は、高品質でスマート化された理想的な居住空間を提供すること。ホテルのように幅広い客層にサービスを提供するのではなく、一・二級都市の中心エリアにフォーカスしたサービスアパートメントを運営しているのが特徴だ。
同社は90後(1990年代生まれ)が立ち上げた。張氏によると「サービスアパートメント市場は市場主導型から経営主導型へと移行しており、業界全体の利益率は下がっている。したがって、より効率的な運営、顧客視点に立った高品質なプロダクトとサービスが求められている」という。
では、E+青年公寓はどのように顧客のニーズを把握し、顧客体験を高めているのか。
張氏は「機能を30%整えれば、顧客ニーズの70%を満たせる」と断言する。例えば、日常的に料理するホワイトカラーは10%程度しかいない。そこで、同社の管理物件では各戸のキッチンをなくし、代わりに共用キッチンを導入している。また、入居者の7割を占める女性は、セキュリティや快適性、機能性に対する関心が高く、また、部屋の広さよりも充実した収納を重視していることがわかった。そこで、収納スペースを一般的な設計のアパートより約40%拡大させた。同社は、このように顧客ニーズに合わせて室内環境を微調整しているのだ。
同社の運営モデルはアセットライト(資産を軽量化する戦略)であり、安定した利益とキャッシュフローを維持している。プロジェクトの準備段階では、設計やサプライチェーンの強みを活かし、最小限のコストで最大限の効果を引きだす。また、収益面では、マーケティング力、運用力、サービスの質、ブランド力を活かし、物件オーナーの収入を増やすとともに、自社の利益も上げている。
競合している魔方公寓のような企業は経営規模が大きく、物件は市街地から郊外まで幅広く分布している。自社で物件を購入して運営するケースもある。また、顧客層も多種多様。一方のE+青年公寓は都市部の中心地に絞って物件を展開し、各棟の部屋数も30〜100室程度だ。
E+青年公寓は、南京市中心部では1〜2キロメートル間隔で物件を展開している。効率が良く、マーケティングコストを削減できる。また、顧客の多様なニーズを満たせるようにさまざまな形態の居室を用意することで、転居する顧客が再び同社の系列物件を選ぶことも多いという。また、小規模な物件が多いので、どの物件も空室率はゼロに近い。
同社が2016年12月に南京で最初の物件をオープンした際には顧客の100%をネット経由で獲得したが、現在は顧客の55%は居住者の紹介などで契約している。口コミマーケティングはとても重要で、張氏によると「顧客獲得コストはほぼゼロとなっている」とのこと。
現在、賃貸業界全体におけるサービスアパートメントのシェアは1桁台にとどまっており、ここにポテンシャルを見出す企業も少なくない。目下、E+青年公寓のCAGR(年平均成長率)は20%で、張氏は「高成長の中、顧客体験を保証できることが我々の強みだ」と述べている。
(翻訳・飯塚竜二)
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