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2018年12月、元F1ドライバーのミハエル・シューマッハ氏が寝たきりの状態を脱したと報じられた。しかし、シューマッハ氏側はこれについて何の見解も示していない。
シューマッハ氏は2013年にアルプスでのスキー事故で頭部に重傷を負い、体の麻痺で寝たきり状態と伝えられた。その後、彼の容態は家族の意向により非公開となっている。
シューマッハ氏のように昏睡状態に陥った人が再び目覚めたり、半身不随となった人がまた歩けるようになったりする「再生医療」を考察する。
いわゆる「再生医療」とは、生物学や工学の理論的手法を用いて、失われたり機能的に損傷を受けたりした組織や器官を修復再生し、正常な機能を回復させる治療を指す。「幹細胞療法」は再生医療の中核の一つだ。
全身または半身不随の原因は多岐にわたるが、そのうちの1つは、事故などによる脊髄損傷だ。損傷した脊髄の部位により、四肢の麻痺や半身不随などの深刻な症状を引き起こす。
2004年にノーベル化学賞を受賞したアーロン・チカノーバー氏は、現在香港中文大学のチカノーバー精密再生医療研究所所長を務めている。インタビューの中で彼は、高容量幹細胞治療により運動機能を回復させた患者の症例を紹介した。この患者は、首から下が動かせない全身不随の状態だったが、米国南カリフォルニア大学神経再生センターなどでAST-OPC1細胞1000万個を直接頚髄に注入したところ、2日後に手が、数か月後には片足のつま先を動かすことができるようになったという。
同大学の脳神経外科医チャールズ・リウ氏が国際幹細胞研究学会で発表したデータによれば、1000万個の細胞注射を行う幹細胞療法を脊髄損傷による完全麻痺患者6人に対して9ヶ月間続けたところ、腕、手のひら、および指の動きに明らかな改善が見られたとのことだ。
しかし現在のところ、幹細胞療法は依然として新興研究の分野であり、わかっていないことも多い。リウ博士らが幹細胞治療を行った患者も完全回復には至っておらず、神経組織の損傷は修復が非常に難しいのが現状だ。
生命科学の分野では、研究を厳格に管理監督することに加え、大規模な二重盲検比較試験などで慎重に臨床試験を行うことが必要となる。現在、中国の脊髄損傷患者数は年間12万人と言われており、こうした人々を救うための国家プロジェクトとして研究開発が広州と上海で進められている。
(翻訳・神江乃緒)
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