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中国EC大手「京東集団(JD.com)」が、中国中央テレビ(CCTV)の2022年の春節(旧正月)特番「春節聯歓晩会」(以下「春晩」)で開催される紅包(お年玉)イベントのパートナーを務めることが明らかになった。
春晩紅包イベントは京東集団の徐雷総裁が総責任者を務める。また、傘下の物流企業やテック企業も参加するなど、グループの総力を挙げて取り組むという。
8年越しでつかんだ紅包イベントパートナーの座
春晩の紅包イベントのパートナーは2014年からインターネット企業が務めてきたが、今回8年目にしてようやく京東に回ってきた。これは予想されていた通りの結果だった。
この1年、インターネット企業各社はさまざまな問題に直面してきた。アリババはプラットフォームに出店する企業に対して2つのプラットフォームから1つのみを選ばせる「二者択一」を強要していたとして罰金が科され、テンセントは独占禁止に関する罰金が科された。ゲーム業界に対する規制も強化された。アリババグループ傘下の金融会社「アント・グループ(螞蟻集団)」が上場差し止めとなったほか、ネット通販大手「拼多多(Pinduoduo)」、生活関連サービス大手「美団(Meituan)」、配車アプリ最大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」も厳しい状況に陥った。
時価総額や評価額がトップ10に入るインターネット大手のうち、京東だけが順調に事業を展開している。アリババは21年第3四半期の売上高が前年同期比16%増にとどまった。14年に米国上場を果たして以来最低の水準だった。一方、京東は25%増と急成長を維持している。
ライブコマース規制の影響で、アリババや拼多多はライブコマースへのリソース投入に限界を感じ始めたようだが、京東への影響は小さかったとみられる。ある業界関係者は「京東の強みは仕入れから販売まで自社で行う点と物流にあるため、短期的な影響は大きくない」と話す。
アリババによる「二者択一」の縛りがなくなったことの最大の受益者は京東だ。今年のネット通販セール「双11(ダブルイレブン)」では、ファッションカテゴリーの取引額を飛躍的に伸ばした。
消費の伸び悩みとライブコマース規制の影響がある中、京東は市場の予想を上回る業績を確保し、さらに士気を高めている。
課題はイベントを支える技術
2014年の春晩紅包イベントでパートナーを務めたWeChat(微信)は、800万人以上のWeChat Payユーザーをアクティベートすることに成功した。
インターネット企業各社は、春晩紅包イベントの重要性に注目するようになった。春晩紅包イベントのパートナー企業は毎年紅包の総額を吊り上げていき、昨年は12億元(約220億円)に達したが、WeChatのような成果は得られなかった。
京東は今年、1月24日から2月15日までをイベント期間とし、春晩史上最高となる15億元(約270億円)相当の紅包や商品を提供する。春晩当日は、番組を視聴する数億人が一斉に紅包イベントに参加するため、ピーク時の対応が技術的に大きな課題となる。さらに今年は京東のECプラットフォームでショッピングセールも行われるため、さらに複雑で難度の高い技術が求められる。
京東の21年第3四半期決算によると、年間アクティブユーザー数は5億5200万人だった。それでもなおアリババの9億5300万人、拼多多の8億6730万人とは開きがある。京東が新規ユーザー獲得のために多額の広告費を投じたとしても、高い効果が期待できる。
京東の春晩イベントは長期間開催されるが、準備期間は短い。京東にとって間違いなく大きなチャレンジになるだろう。
(翻訳・二胡)
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