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バイオ素材を開発する「MI TERRO」がこのほど、エンジェルラウンドで数百万ドル(数億円)を調達した。「Astanor Venture」がリードインベスターを務めた。
MI TERROは2018年末設立だ。創業者のRobert Luo氏によると、同社は「食物タンパクからラップフィルムを取り出す」特許技術を使い自然界で完全に分解される包装材を生産、工業環境にあっても180日以内に完全分解し、土壌も汚染しない。
Luo氏によると、酒かすのタンパクで製造した包装材は通常のプラスチック材に比べ鮮度保持や酸化防止に優れる。また、PBAT、ポリ乳酸のような他の生分解性材料に比べ生産コストが低く、分解周期が短い。同社の特許技術を活用すればさまざまな食品廃棄物からタンパクを取り出して分解可能なバイオマス素材を製造できる。
世界では毎年約13億トンの食物が浪費され、780億トンのプラスチック包装材が白色汚染を引き起こしている。今回出資したAstanor Ventureは、MI TERROの最先端技術は価値の低い農業副産物を価値の高い分解可能なバイオマス素材に変え、世界が直面する二大問題の解決と同時に、天然由来のエコ商品をつくり出したと評価する。
MI TERROのビジネスモデルは企業向けで、世界的な酒類メーカーAB InBevやユニリーバと実験で提携するほか、P&G、マクドナルドのサプライチェーンを一元管理する物流企業「Havi」と提携合意書を締結している。MI TERROはユニリーバと共同で世界初の100%バイオマスの洗濯用および食器用パック型液体洗剤を開発し、市場で広く使用されている石油由来のポリビニルアルコールの代替を狙う。
MI TERROはAB InBevの酒かすを回収して高分子素材を取り出し、AB InBevの瓶用ラベルに加工する。Luo氏は「自社の技術で酒かすから粗繊維を取り出し、射出成形により食品容器、コップ、テーブルマット、コースターなどに加工できる」と話す。
技術と研究開発がMI TERROの強みだ。農業廃棄物、食品の残りかすからタンパク質、繊維、でんぷんなどの高分子素材を取り出し、別の分子を加えて性質を変え、分解可能なバイオ素材にする。MI TERROは、廃棄物の資源化に関する技術で5件の特許を出願した。
原料から取り出したタンパク質も、理論上は食べられる。MI TERROが製造したインスタントラーメンの調味料の袋は、お湯をかけると調味料とともに溶ける。同社はさらに、取り出したタンパク質と繊維でペットフードとおやつを製造した。
MI TERROは2022年の生産量を100~200トンと見込む。今後はワンストップのタンパク質データのソリューションプロバイダーになる計画だ。Luo氏は、工場で残った酒かす、おから、廃棄される牛乳など、タンパク質や繊維を含むものであればすべて利用できるとしたうえで、今後は日常の生ごみとプラスチックごみを利用可能なタンパク質素材にする方法を研究する方針を示した。
Luo氏は新素材技術分野の連続企業家だ。共同創業者でチーフサイエンティストの陳聖福氏は浙江大学の研究所の教授も務め、タンパク質の吸着性と高分子素材を長年研究している。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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