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この冬はほとんど雪が降らなかった北京だが、2月12日についに最初の大雪となった。
8万人の観光客が訪れた紫禁城からは、SNSに「雪の紫禁城」の投稿が相次いだ。そして雪を歓迎するムードに合わせて、コーヒーチェーン「瑞幸珈琲(luckin coffee)」もAR広告「瑞雪見鹿(編註: 瑞雪は豊年の前兆とされる雪のこと)」をローンチした。
このAR広告は、瑞幸珈琲のカップに印刷された小鹿のロゴを最新版のアプリでスキャンすると見ることができる。「小鹿よ、どこ行くの?」と題したARミニゲームにもリンクされており、ゲームの終わりには紫禁城のAR画像が表示される。
旧正月明けの「瑞雪」に合わせて発表されたこの広告は、思いつきではなく周到に用意されたものだった。
同社のマーケティング戦略は、気候や祝祭日などさまざまな季節のイベントに合わせて、ユーザーがネットで拡散したくなるような創造的なアイデアを年単位で計画し、事前に準備している。今回のAR広告はモバイル向けARアプリ「網易洞見」の運営チームと協業で制作された。2018年11月上旬に着手し、約40営業日ほどかけて同年末までには完成させていた。
しかし、実際は期待されたほど話題にはならなかった。SNSのタイムラインに投稿が相次ぐということもなく、ソーシャルメディアでも人気検索ワードに入ってきていない。
VRやARなどの技術が進歩するに伴い、多くのIT企業がこれらのテクノロジーを、特に自動車、高級品、日用消費財など消費者向けブランドの広告で利用するようになった。ARは先端技術であるため、ブランドに高級感をもたらすことができるとして高価格帯消費財の広告に好んで使われる。一方、ARは若者の間で浸透率が高く、若い顧客層にアピールしたいブランドもARを広告に採用することが多い。
しかし、予想されていたほどマーケティング効果が出ていないのも事実だ。網易洞見がこれまで制作した広告はどれも十分に洗練されたものだが、それでも反響は限定的だった。
原因の一つは、AR広告を視聴するためのハードルが存在することだ。デバイスの操作スキルが必要であり、より良い視聴体験を得るためには専用機器が必要となる。携帯電話などのスマートデバイスでは広告効果を大きく低下させてしまう。さらに、これまでのAR広告はほとんどが似たようなミニゲーム形式で、ユーザーに飽きられやすい。
また、ほとんどのAR広告はアクセスしにくい。瑞幸珈琲による今回の広告は、専用アプリのホーム画面のバナーと公式WeChatからしかアクセスできない。入り口を見つけるのは困難だ。
ARでバズマーケティングを成功させるためには、更なる試行錯誤が必要かもしれない。
(翻訳・神江乃緒)
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