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春節(旧正月)期間、中国では大手インターネット企業が紅包(お年玉)を大盤振る舞いし話題になった。2019年は、テンセント系のWeChatとアリババ系の支付宝(アリペイ)に続き、バイドゥ(百度)も本格参戦している。アプリのダウンロード数とアクティブユーザーの増加を狙ったものだ。
アクティブユーザー数は増加
今年の春節前後で、バイドゥが放出した紅包の金額は累計10億元(約160億円)を超えた。
この期間、バイドゥアプリのダウンロード数、アクティブユーザー数は急激に増加したという。
モバイルアプリのデータ分析を行う「七麦数據(Qimai Data)」によると、iOS無料アプリのダウンロードランキングで、バイドゥは2月5日に急上昇し7日まで1位だったが、2月13日には33位に下落した。
旧暦1月15日の元宵節(小正月)、国営テレビ局CCTVの特番「元宵晚会」放送中、バイドゥはさらに総額2億元(約33億円)の紅包を振る舞った。その結果、バイドゥとその傘下のショート動画アプリ「好看視頻(Haokan )」、フラッシュ動画アプリ「全民小視頻(Quanmin)」などもiOS無料アプリランキングで急上昇した。
さらにモバイルインターネット専門市場調査会社「QuestMobile」のデータでも、2月4日から10日までのバイドゥのMAUとDAUはいずれも直線的に増加している。
好調は持続するのか
だが、バイドゥの一連のキャンペーンは最終的に期待通りの成果をあげられないという見方もある。
本来、バイドゥは検索エンジンであることから、ユーザー継続率が低いツール系アプリに属する。 12月のアクティブユーザーの30日後継続率を例にとると、WeChat(95%)やアリペイ(75%)に比べバイドゥは56%とかなり低い。このため、総額12億元(約200億円)をつぎ込んでも定着するユーザーの数は限られると見られ、新規ユーザーの定着状況を注意深く見守ることが必要だ。
また、WeChatウォレットやアリペイに比べ、バイドゥウォレットの利用率が低いことも「紅包効果」の持続性に影響するだろう。バイドゥの場合、送金された紅包を引き出した後は、ウォレットが使われない可能性が高い。
第1四半期にはより大きなプレッシャーが
景気後退による企業の広告予算削減や、TikTok(抖音)など新しいチャネルの台頭と、バイドゥの広告事業にとってマイナス要因はあるものの、中国でサーチエンジンの代名詞とも言えるバイドゥは未だ重要な広告媒体であり、その売上規模は依然として莫大だ。
ただし、利益の減少は懸念される。春節から元宵節までの期間に直接投じた12億元だけでなく、好看視頻と全民小視頻も、ユーザーにボーナスを提供している。もしバイドゥがショート動画の分野でTikTokや「快手(Kwai)」などと対抗するなら、コンテンツへの投資を継続しなければならない。最近では、ショート動画各社が制作者に対し資金援助をして良質のコンテンツを獲得しようとしている。バイドゥもコンテンツとユーザーの双方に資金を投じることで、特に今年の第1四半期には同社のコンテンツやマーケティングコストを増加させ、利益を圧迫する恐れがある。
(翻訳・神江乃緒)
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