洋碼頭が会員制ECサイト立ち上げへ、吉と出るか凶と出るか

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C2C(個人間取引)の越境EC「洋碼頭(Ymatou)」がソーシャルコマース市場に参入する。

昨年11月、洋碼頭はブラックフライデーにちなんだセール期間中、「海外商品の共同購入」や「0元に値引き」などのSNSのグループ機能を活用したマーケティングにより、平常時の十数倍に上る注目を集めた。同社はこれを受け、ソーシャルコマースへの注力を強めることにしたようだ。

「全球優選」(グローバル・セレクション)と名付けられた同社のソーシャルコマース・プラットフォームは、現在社内でのテスト段階まで進んでおり、3月にリリースされる予定だ。全球優選は会員制ECサイトで、主に洋碼頭の共同創業者でCMOの蔡華氏が先頭に立って販路を開拓する。なお、同社はすでにブランド数千社と提携しており、83カ国からの商品を1日平均80万点出品している。

EC専門メディアの「億邦動力(ebrun.com)」によると、洋碼頭の担当者は、全球優選を「海外商品の販売をベースとして、販売形態をソーシャルコマースに近づけたものに過ぎない」と説明したという。

とはいえ、少し考えればそれが大胆な試みであることがすぐに分かる。全球優選は既存のECモデルから「海外商品」と「共同購入」という全く異なる2つの要素を取り出して一つにまとめているからだ。そこが他のソーシャルコマース・プラットフォームと異なる点だろう。

業界トップのソーシャルコマースサイト「拼多多(Pinduoduo)」や会員制ECサイト「雲集微店(Yunji Weidian)」では、客単価が比較的低い日用品や消耗品が中心で、ブランドは重視されない。こうした傾向はソーシャルコマース業界全体でみられるものだ。一方、全球優選の取扱い商品はメイクアップ用品、高級ブランドバッグ、時計やアクセサリーなど客単価が比較的高い海外商品であり、これら商品の購入者層はブランド志向が強く、高い品質を要求する。

客観的に見ると、ソーシャルコマースと「高級品を購入する消費者」というキーワードは結びつきにくい。このことが、洋碼頭のソーシャルコマースへの進出において最初に直面する課題になるおそれがある。

ビジネスモデルに関しては、全球優選は自らを会員制ECサイトと位置づけている。会員制ECサイトというのは、マルチ商法を禁じる政策を意識する中でソーシャルコマース業者が見出した活路なのかもしれない。例えば生鮮食品に特化したソーシャルコマースサイト「毎日一淘(FreshBuddy.com)」は、新規ユーザーの紹介に対する報酬や398元(約6400円)の会費制度を廃止し、新規ユーザーを30人登録すれば店主になれるようなシステムへと移行した。

一方、全球優選では、会費制(会費499元=約8000円)で、ユーザーはギフトパックを購入するというかたちで会費を支払うことになる。将来、その会費が同サイトの流通総額(GMV)のうち高率となる可能性もあり、そうなると、サイトの売上構造は不健全だということになる。

洋碼頭が2017年9月に黒字化したことにも注目すべきだ。当時は2~3年以内の上場を計画していた。計画が変更されていなければ、上場のタイミングは非常に近いと考えられる。

現在、同社が直面している問題は2つ。1つめは、個人の買い手に対する効果的な管理・監督体制を構築することが難しく、偽物問題を完全に回避できていないこと。2つめは、越境ECに関する新政策が施行され、ECサイト運営者は市場主体(取引に従事する組織・個人)登記をしなければならなくなったことだ。後者は、バイヤーの存続に影響するが、価格面ではB2C(企業対個人取引)ECサイトにかなわない。そのため、洋碼頭では新たな成長分野を見つけ出す必要性に迫られ、ソーシャルコマースという新規事業を打ち出し、自力での立て直しに乗り出したのである。
(翻訳・池田晃子)

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