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消費者向けARデバイスを開発する米「VITURE」は、米クラウドファンディングプラットフォーム「Kickstarter」で5000人以上の支援者から合計300万ドル(約4億円)以上を調達した。プラットフォームに掲載したのは初代モデルVITURE Oneで、アーリーバードの特典価格は399~629ドル(約5万3000~8万4000円)に設定した。
支援金額進捗チャート「Kicktraq」をみると、1人当たりの支出額はFacebook傘下の「Oculus」が256ドル(約3万4000円)で、VITURE Oneは611ドル(約8万1000円)。支出額の高さはVITUREがイノベーション、デザインとブランドでは世界で成功しているブランドと同様の力を備えていることを示す。
VITUREはデザインがファッショナブルでありながら高性能な技術も体験できるARグラスに注力する。設立は2021年9月で、シードラウンドでは「真知資本(Verity Ventures)」と「中関村智友科学家基金」から資金を調達した。
KickstarterのVITURE One のページにはギーク、ゲーマー、ファッションに敏感な人などから3000件以上のコメントが寄せられており、これまでにクラウドファンディングを実施したAR製品に比べると、市場の売れ筋が微妙に変化していることが分かる。
AR製品の多くは価格が高止まりし、以前は主に価格にさほど敏感ではない企業ユーザーが購入してきた。世界で最も売れているマイクロソフトの「Hololens2」、資金調達額が最高を記録した「MagicLeap One」はいずれも価格が数千ドル(数十万円)で、一般的な眼鏡やサングラスとは形態も重さもかけ離れていた。
しかし、今年に入ってから消費者向けARが注目されるようになり、グーグルはARデバイスの試作品、クアルコムも一体型ARグラスのデザインを発表した。
VITUREはAR分野で体系的な事業展開をしており、会社の設立もVITURE Oneの発売も市場に変化をもたらした3つの契機に乗っかっている。創業者の姜公略氏は「第一に世界的な5Gの普及、第二にクラウドコンピューティングの進化、第三に低コストで高性能なMicro OLEDなどのコア部品の登場で消費者市場に参入できる価格帯が実現可能になったこと」を挙げる。
VITURE Oneは解像度1080pのMicro OLEDディスプレイを採用し、 輝度1800nit、7段階の調節ができ、コントラスト比50000:1、リフレッシュレート60Hz、FOV (視野)43度だ。さらに5~80%の間で透過率を調節できるレンズで、わずか2秒で調節できる。価格は中価格帯で、メガネ部分の重さは78gだ。
グラスのほかにマグネットで装着するネックバンドがあり、電池やコンピューティングモジュールはファンで放熱して使用感や安全性を高めている。
姜氏は、消費者向けの3C製品(コンピューター、通信機器、家電)には多くの共通点があり、出荷台数を左右する二大要素はファッション性とデザイン、そして機能だと指摘する。
VITURE Oneは全体の製品設計では英国の有名な工業デザイン事務所 Layerと提携した。Layerは多くの国際的ブランドを顧客に抱え、パナソニックのスマート家電もデザインしている。
さらに重要なのは、VITURE OneはVRの一体型ヘッドセットのようにクラウドストリーミングを通して接続し、120インチの大画面でゲームを楽しめることだ。さらに、Nintendo SwitchやSteam Deckなどのゲーム機にも対応する。市場戦略について姜氏は、VITUREはブランドの海外進出、DTC(直接販売)、XR(クロスリアリティ)の3つを挙げる。
今後について姜氏は、ブランドとエコシステムは長期的な「堀」であり、ユーザーのために価値を創造しサプライズを届けることが会社の一貫した戦略だとの考えを示した。同社は現在光導波路技術の開発を進めている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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