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中国IT大手バイドゥ(百度)傘下の電気自動車(EV)メーカー「集度汽車(Jidu Auto)」は6月8日夜、ロボットカーの1号モデルとなるコンセプト車「ROBO-01」を発表した。発表は全てバイドゥのメタバース「希壤(Xirang)」で行われ、車体の実物は登場せず、アニメーション動画のようなプレゼンテーションだった。ROBO-01の設計と機能の90%を搭載した量産モデル車が、早ければ今秋に限定版として発売されるという。
集度汽車の夏一平CEOは発表会後のインタビューで、1号モデルは自動車大手「浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Holding Group)」の寧波杭州湾新区工場で生産を開始し、22年10-12月期初めに販売店を開設、23年発売見込みと述べた。また、今秋開催予定の広州モーターショーで量産車の2号モデルを発表する。
ところがこの発表会後、複数の動画でコンセプト車の実物映像が流出した。ROBO-01の色は「星河紫」「星雲灰」「星瓷白」の3種類。フロントドアはバタフライ式でリアドアはフリースタイルドア、ポップアップ式のLiDAR(レーザーレーダー)や一体型大型ディスプレイ、U字型ステアリング等が特徴だ。また、ドアハンドルやシフトレバー、ウィンカーレバー等の物理的な操作部は設けられていないという。
こうした機能が全て量産車に適用されるわけではない。バイドゥの創業者である李彦宏氏は22年1-3月期決算説明会の席上で、集度汽車初の量産車は20万元(約400万円)クラスを想定したもので、この価格帯ではハイエンド車に搭載されるような機能を実現するのはかなり難しいだろうと語っている。
ポップアップ式LiDARの実用性も疑わしい。以前、中国の新興電気自動車(EV)メーカー「理想汽車(Li Auto)」「小鵬汽車(Xpeng Motors)」「威馬汽車(WM Motor)」のトップたちがLiDARの搭載位置について中国版ツイッター「ウェイボー(微博)」で議論を戦わせた。小鵬汽車では2019年式「小鵬G3」にポップアップ式のカメラが導入されたが、最新型の「G3i」では採用していない。
集度汽車がコンセプト車の機能をどこまで量産車に使えるか、今秋までわからないが、自動運転の機能は全て量産車にも適用されると夏CEOは断言した。
同社は自動運転とスマートコックピットに特に力を入れ、必要となるソフトウェアの開発を製品開発プロセスに組み込んでいる。「電気/電子(Electric/Electronic)アーキテクチャー(EEA)」と「サービス指向アーキテクチャ(SOA)」を組み合わせた高度自動運転(L4)に適合するスマート化システム「JET(JIDU Evolving Technology)」を開発し、これをもとに自動運転とスマートコックピットシステムを開発した。
集度汽車の公式発表によると、ROBO-01の自動運転はJETをベースに、フロント部分に設置されたLiDARで道路への飛び出しなど比較的複雑な運転状況に対応する。また互いが予備機能となる「画像認識+LiDAR」による自動運転ソリューションも取り入れた。このほか、米半導体メーカー「NVIDIA」のSoC(System On a Chip)「Orin」、米半導体メーカー「クアルコム(Qualcomm)」の車載用チップ「SA8295」 、処理能力538TOPS(160兆回/秒)のAIアルゴリズムを採用した。
車両全体で、2基のLiDAR、5つのミリ波レーダー、12の超音波レーダー、カメラ12個、計31の車外センサーを搭載している。
自動運転システムは高速走行、市中、駐車の3シーンいずれでも使用でき、2地点間のL4自動運転能力を備える。信号機や一時停止の標識がない場所での左折、信号識別、障害物回避、インターチェンジの乗り降りも可能で、ユーザーは納車後すぐに運転することができる。
スマートコックピットは、クアルコムの第四世代「Snapdragon」自動車用デジタルコックピット用プラットフォームを採用、大型ディスプレイで3Dやミリ秒レベルでの音声対話も可能になった。
集度汽車の夏CEOはこうした能力を根拠に、スマートカー3.0時代とはロボットカーの時代だとした。
バイドゥが9年も費やした自動運転とAI音声技術を結集して集度汽車が車両を製造し、ロボットカーという概念を打ち出した。しかし、現在の自動車市場において音声認識は取り立てて言うほどの機能ではない。量産型で従来とは全く異なる機能が実現されない限り「ロボットカー」という呼び方はふさわしくない。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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