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百度(バイドゥ)は現在、同社が提供するミニプログラム「百度スマートミニプラグラム」をオープンソース化し、より多くの検索トラフィックを開発元に提供している。具体的には、百度スマートミニプログラムは検索結果が同種のコンテンツよりも上位表示され、より多くのアクセスを獲得できるという戦略がとられている。
バイドゥアプリ事業の平暁黎総経理は、昨年5月に開催された「百度連盟サミット(Baidu Union Summit)」において、「バイドゥ全体のトラフィックやAI技術によるエンパワーメントで開発者を支援するので、開発者にはスマートミニプログラムのエコシステム構築に参与してもらいたい」と発表した。
スマートミニプログラムが昨年7月に正式リリースされた当初、「紅包(ラッキーマネー)」を目玉として新規ユーザーを取り込んだ。現在ではこうして獲得したトラフィックを使って本領発揮をはじめたのだ。
バイドゥミニプログラムの優先順位
バイドゥによると、バイドゥ系アプリの中では、同様のコンテンツであれば、ミニプログラムの優先度はHTML5より高い。さらにバイドゥアプリ内ではスマートミニプログラムと同内容のHTML5を削除することでミニプログラムを優先的に表示するという。
36Krはバイドゥと微信(WeChat)で同時に、具体的な単語と抽象的な単語を使ったキーワード検索をしてみた。
まず、ソーシャルECアプリの名称「小紅書」を入力すると、バイドゥのサジェスト機能は「小紅書スマートミニプログラム」を首位表示するのに対し、微信では3位に表示された。
次に曖昧な検索ワード「賃貸物件」で検索したときに、微信では賃貸物件に関するミニプログラムが首位表示されるのに対し、バイドゥでは上位6位までは各プラットフォームの賃貸物件広告で、7位にやっと賃貸物件を扱う「58同城(58.com)」のミニプログラムが表示された。
つまり、具体的な単語で検索をかけた際に、バイドゥはミニプログラムを上位に推す対応をすでに敷いているが、曖昧で概念的な検索ワードに対しては従来通り、広告が上位表示され、その下にミニプログラムがくるということだ。
バイドゥの収入構造から考えると、このような結果が出るのは当然だといえる。百度は自社のミニプログラムを推したいが、同時に、依然として収入の大半を広告に依存している。そのため、バイドゥの検索結果はどうしても広告が優先して表示されるのだ。
ミニプログラムを活性化
ミニプログラム戦場の先発舞台は、やはり中国IT企業の御三家「BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)」だった。
テンセントの「微信ミニプログラム」はECとゲームに重点を置き、アリババの「支付宝(アリペイ)ミニプログラム」はビジネスと生活サービス分野に狙いを定めている。
バイドゥの「百度スマートミニプログラム」も微信と同様にECとゲームに焦点を当てており、ミニプログラムの分野ではバイドゥと微信は直接的なライバルとなっている。
バイドゥに比べると、微信の優勢は明らかだ。ミニプログラムに注力したのが最も早く、最大のトラフィックを持つほか、ミニプログラムの数も最多だ。ミニプログラムのサードパーティデベロッパー「即速応用(jisuapp.cn)」によると、2018年11月時点で、微信はすでに120万以上のミニプログラムを擁しており、デイリーアクティブユーザー(DAU)は2億人を超えている。対してバイドゥのスマートミニプログラムの数量は1万前後で、月間アクティブユーザー(MAU)は1億5000万人程度だ。こうしてみると、百度のミニプログラムのリテンションは拡大の余地が大いにある。
検索エンジンの大御所、バイドゥがこのミニプログラム競争で簡単に諦めるはずもなく、絶えず歩幅を拡大している。
データから見ると、バイドゥスマートミニプログラムサービスはすでに262もの細分化された分野をカバーしている。現在、バイドゥスマートミニプログラムは開発申請を全面的に開放しており、開発者は「スマートミニプログラム公式サイト」から申請が可能だ。
DAUでは微信に及ばないものの、検索エンジンであるバイドゥには元からの優勢がある。集客力において、1日当たり150億回を誇る検索結果表示回数は開発者にとっては大きな魅力だ。これはちょうど微信ミニプログラムの弱点でもある。なぜならBATの中で、微信がミニプログラム開発者に開放しているトラフィックが最も少ないからだ。
ミニプログラム開発者にバイドゥが持つトラフィックの強みを共有させることは、開発者により多くの自信を提供することに他ならない。
これ以外にも、バイドゥは強みがある。微信ミニプログラムは大部分がSNS経由のレコメンドに頼っており、トラフィックが内部で完結しやすい。しかしバイドゥは既に動画共有サイト「愛奇藝(iQiyi)」、ショート動画アプリ「快手(Kwai)」、オンライン旅行代理店「Ctrip」など中堅企業12社のアプリとオープンソースのアライアンスを築いており、これがミニプログラムへの入り口となっている。
現時点ではミニプログラムにおけるバイドゥは微信にとっての脅威ではないが、勝負の行方はまだわからない。
(翻訳:山口幸子)
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