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英フィナンシャルタイムズの27日付の報道によると、TikTokの運営会社「バイトダンス(字節跳動)」が自社製スマートフォンの開発に向け準備をしているという。
バイトダンスに近い関係者が36Krの傘下メディア「Tech星球」に明らかにしたところによると、同社がスマホの開発を行っているのは事実で、製品発表は今年下半期となる見込みだという。
この件に関して、バイトダンスは「ノーコメント」としている。
今年1月、同社はスマホメーカー「錘子科技(スマーティザン・テクノロジー)」の一部従業員と雇用契約を締結。ハードウェア部門の全従業員とソフトウェア部門の一部従業員がバイトダンスのオファーに応じたという。同時に、錘子科技の特許使用権の一部も買い取っている。当時、これらの特許は教育分野の関連事業に利用するとしていた。
2016年、バイトダンスは「人工智能実験室(ByteDance AI Lab)」を設立しているが、このディレクターを務める張永華氏は、企業情報サイト「天眼査(TianYanCha.com)」によると、「得特創新科技(Delta Innovation Technology)」の代表も務めている。同社は新規事業としてテレビ番組制作やアプリ・ソフトウェア関連サービス、スマホ加工の委託なども行っているという。
バイトダンスはスマホ事業のために人材と技術分野で基礎がためを始めたとみて良いだろう。
今年初め、テンセント(騰訊)がスマホ分野に進出するとのうわさがあった。同社は少なくとも「ASUS(エイスース)」、「Razer」、「聞泰科技(WINGTECH)」、「黒鯊科技(BLACK SHARK)」などのODM(委託生産)ができるメーカーに接触している。しかし現在のところ、具体的な提携先は決まっていないようだ。
テンセントがゲーム事業の強みを生かしてゲーミングスマホを開発するとの仮定が成り立つなら、バイトダンスも同様に、自社製品の強みを生かしたプロダクトを開発するだろうか。
短編動画アプリTikTokを世界的にヒットさせた同社だが、その商品ラインナップは全面的に拡大中だ。今月リリースしたインスタントメッセンジャーアプリ「飛聊(flipchat)」の他に、今秋には有料音楽サービスをリリースすることが明らかになっている。現在、Tik Tokの月間アクティブユーザーは国内外合わせてすでに5億人を超えており、同アプリは動画とソーシャルのスーパープラットフォームを構築しようしている。このように、バーティカルな領域に特化したハードウェア製品をリリースすることは、自社のエコシステムを強化する一つの方法でもある。
中国国内でこれまでに登場した、特定分野向けのスマホといえば「美図科技(Meitu Technology)」の手がけた製品が最も有名だった。美顔自撮りアプリとして大ヒットを記録した同社のソフトウェアを目玉に据え、一時は同社売上高の90%以上を占めた。しかし、2018年にはスマホ市場自体が飽和状態となり、大手各社も高性能カメラの開発に成功したため、美図製スマホの競争力は弱まった。同年11月、美図はスマホ事業をシャオミ(小米科技)に譲渡している。
バイトダンスが現在スマホ分野、そしてバーティカル分野に注力するのは、その強大な製品エコシステムの後ろ盾があるためか、あるいはかなりの潜在力を見込んでいるためだ。しかし、市場で生き残るにはソフト・ハードウェアの両面において他社との差別化したスマホを生み出すことが必要である。
(翻訳・山口幸子)
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