オンライン医療を推進する「恒生芸泰網絡科技」、全国規模のリーディングカンパニーを目指す

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オンライン医療事業を手がける「恒生芸泰網絡科技(Hundsun Yuntai Network Technologies)」が、シリーズBで「中電健康産業基金(CEC Data Healthcare Fund)」、「朗盛投資(LANG SHENG INVESTMENT)」から資金調達を行った。この資金は、加盟医療機関の拡充や薬の処方プロセス改善、経営規模の拡大、オンライン・オフラインの統合、医療・健康産業全体を網羅するエコシステムの構築に投入される。

同社は、ソフトウェア開発企業「恒生電子(Hundsun Technologies)」が2013年に設立した移動医療事業部が前身だ。2015年3月に法人登記を行い、それから約2カ月後にシリーズAで「雲鋒基金(YUNFENG CAPITAL)」から1億元(約16億円)規模の出資を受けている。

オンライン診療構築のソリューションを提供

同社はオンライン医療の構築に関連する一連のソリューションを提供しており、医療体制、薬の処方などでオンライン化、クラウド化を目指す。

芸泰網絡の事業構成

■オンライン医院:医療機関のオンライン化を推進する。各医院の専用アプリ、微信(WeChat)、モバイル決済サービス支付宝(アリペイ)などを通じて、医療コンシェルジュ、診察予約、支払い、カルテ閲覧、(慢性疾患の)再診、治療終了後の経過観察などをオンラインで提供する。北京市共和医院ですでに導入されている。

■クラウド医院:省・市・区など自治体の保健部門や医療聯合体(地域の医療機関を統括する機関)への支援策として、クラウドプラットフォーム上に個別の医療機関の窓口を設ける。地域の医療リソース(医療機関や薬局)、保険企業、物流企業、第三者決済機関などを統合し、さまざまなレベルにおける医療のIT化へ向けて基礎を構築する。すでに広東省や北京市の一部で導入が進んでいる。

■全国医療・健康プラットフォーム:金融企業の顧客を対象に健康管理関連のサービスを提供するプラットフォーム。「阿里健康(Ali Health)」がアリペイのユーザーを対象に提供しているサービスが一例だ。

■クラウド薬局:薬の処方から提供までのIT化を行い、オンライン診療を完結させる。芸泰網絡の共同創始者兼CEOの黄正威氏によると、全診療過程のオンライン化に伴い、診察の後に続く薬の受け渡しと支払いを院外へ引き継ぐものだという。

芸泰網絡は現在、全国600カ所の公立医院と提携している。うち半分は、医療機関の等級では最高クラスの三級医院だ。また、全国26省・市の約5800カ所の医療機関とサービスを接続し、実名登録ユーザーは1億人を超えた。

政府の奨励策が後押しに

創業当初の2013~2014年ごろは、診療予約や支払いなど、診療過程の中でもオンライン化が可能な部分のみをアプリなどで提供するのが主流だった。当時は医療情報の保護に関する懸念の声が根強く、提携に乗り出す医院もそれほど多くなかった。

その風向きが変わったのは2018年のことだ。同年4月、複数の政府関連部門がオンライン医療奨励策を打ち出した。9月になってオンライン医療の監督・管理法や営業許可証に関する明確な定義が発表されると、これが安心材料となり、オンライン診療業界はにわかに活気づいた。同年の芸泰網絡の売上高は数千万元(数億円)に上っている。

業界のリーディングカンパニーを目指せる理由

現在、同分野に参入するプレーヤーはIT御三家のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)や三大通信キャリア(チャイナモバイル、チャイナテレコム、チャイナユニコム)、大手医療機器メーカーなど群雄割拠の様相を呈している。

芸泰網絡の黄正威CEOは、全国の二級以上の主な公立医院が、2~4年以内にオンライン診療体制を導入すると見ている。ただし、医療は地域性に強く結びついた市場でもあるため、地域をまたいで全国規模で事業を展開できる企業はわずか1~2社に限られると予測する。

そんな中、すでに北京市と広東省でトップシェアを握る芸泰網絡は、業界のリーディングカンパニーとなることを目標としている。今回の資金調達で上海を拠点とする朗盛投資の出資を受けたことも、同地での地盤固めが目的だ。また、同社がソフトウェア開発企業をインキュベートさせた事業体であることも強みの一つだ。情報セキュリティやビッグデータの蓄積・高並列処理など技術面で確かな後ろ盾を持っている。
(翻訳・愛玉)

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