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スターバックス中国は7月12日、世界初のテイクアウト専門店を北京で開業した。オンライン経由で注文を受け、店頭で商品の受け渡しをするサービス「啡快(Starbucks Now)」と、デリバリーサービス「専星送(Starbucks Delivers)」を提供するほか、顧客のためのイートインスペースも設けるコンセプトストアだ。
スターバックス中国は、オンライン領域のさらなる強化へ舵を切った。啡快は今年5月にスタートしたサービスで、当初は北京、上海の300店舗で試験的に運営してきたが、すでに杭州、南京を含めた4都市の1300店舗へ提供範囲を拡大している。
6月には事業構成の再編も行い、全事業を「小売」と「デジタルイノベーション」の二つのユニットへ振り分けた。つまり、デジタル事業はスターバックス中国が最重要視する事業の一つへ格上げされたことになる。今回のコンセプトストア開店もその一環だろう。店舗面積10平方メートルあまりの小型店で、純然たるオフィス街に位置している。わずか20メートルほど先にあるのは、同社がライバルと目する新興コーヒーチェーン「瑞幸咖啡(luckin coffee)」のテイクアウト専門店だ。
開業したばかりの「啡快」コンセプトストアは三つのエリアに分かれている。まず従来型の店舗と同じ注文カウンターにはスタッフが常駐し、パンやスイーツなどのフードメニューも提供する。次に新設された「星礼台」と呼ばれるカウンターでは、スタッフが商品受け取り方法の案内をする。背後には注文した商品を受け取れるロッカーが設置されており、キッチンに直結している。さらにイートインスペースもあり、ガラス張りの窓に面したカウンター形式のテーブルにイスが並んでいる。
近接する瑞幸咖啡のテイクアウト専門店と比較すると、より店内での体験を重視したデザインになっている。
スターバックスにとって、これは全く新しい小売りの業態だ。店内体験を最優先してきた従来の店舗展開と異なり、これまで押し出してきた「サードプレイス」に「フォースプレイス(オンライン体験による新たな空間)」を加味した構成となっている。既存店で併設してきたコーヒー豆などの販売スペースをなくし、顧客の「即時に完結するサービス」へのニーズを満たしている。
同店はさらにセントラルキッチンの役割も果たしている。ピーク時には周辺のビジネス街にある店舗で受注したデリバリー商品を分担し、顧客の待ち時間を短縮する。
今回の出店は、テイクアウトを全面に押し出すライバル・瑞幸咖啡への対抗策であるとともに、より賃料の安い小型店舗の活用により集客体制を大規模化するための戦略とみられる。成功すれば全国規模での展開もあり得る。
中国市場におけるスターバックスの優位性は以前に比べ明らかに脅かされている状態だ。競合する瑞幸咖啡は今年5月にナスダックへ上場し、店舗数でも約3000店とスタバに迫る勢いだ。スターバックスとしてはデジタル化による刷新を加速させ、ますます厳しくなる競争を勝ち抜いていくしかない。
(翻訳・愛玉)
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