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消費者向けXRグラスを開発する「VITURE」がこのほど、シリーズA+で約1000万ドル(約14億円)を調達した。藍馳創投(Bluerun Ventures)が単独で出資した。これまでにシリーズAでベルテルスマンアジア投資基金(BAI)や真知資本(Verity Ventures)などからも資金を調達している。
VITUREは2021年に設立され、巨費を投じて制作される「AAAタイトル」ゲームのプレイや没入型の映画鑑賞を楽しめる消費者向け高級XRグラスが主力製品だ。
VITUREの初代モデル「VITURE One」は昨年5月、米クラウドファンディングプラットフォームの「Kickstarter」で5000人以上の支援者を集め、調達額は300万ドル(約4億3000万円)を超えた。これは過去にメタ傘下の「Oculus」が調達した240万ドル(約3億4000万円)の記録を上回る額だ。年末には米タイム誌の「BEST INVENTIONS OF 2022(2022年の最も優れた発明)」を獲得、消費者向けAR(拡張現実)・VR(仮想現実)分野では唯一の受賞となった。今年4月には予約販売分の納品が完了しており、CESイノベーションアワード、ドイツのiFデザイン賞、レッドドット・デザイン賞も受賞している。
最近の消費者向けARグラスは、携帯性と演算性能とのバランスをとるため、グラス本体とコンピューティングモジュールが分かれたセパレートタイプになっているのが特徴だ。昨年1月以降、世界で17ブランドほどがセパレートタイプのARグラスを発売している。
そのなかでVITUREが初めてネックバンド型のコンピューティングユニットを採用した。重さはわずか160グラム、コンピューティングモジュールを統合し、128ギガバイトのストレージや連続3時間使用できるバッテリーを備えている。テレビチップの採用でコンピューティングユニットのコストが1000元(約2万円)以下に抑えられたほか、スマートTVアプリを操作、利用することもできる。
グラス本体とネックバンドはマグネット式のコネクタでつなぐ。セパレートタイプにしたことでグラスの重さはわずか76グラムとなり、現在市販されているARグラスの平均より軽くなった。ネックバンド内部にはAndroidをベースに独自開発したOSを搭載。クラウドゲーミングやクラウドストリーミング、ストリーミングメディア、クラウドオフィスなどのアプリがあり、豊富なコンテンツをそろえている。
バーチャルとリアルの切り替えをよりスムーズにするため、レンズにエレクトロクロミズム(電圧を加えることで色が変わる現象)の技術を採用した。透過率を5%から80%の範囲で調節することができ、ユーザーは「没入型の映画館」と「現実世界」とをすばやく行き来することができる。
今年に入り、クラウドファンディングの支援者に納品されたVITURE Oneでは機能の一部がアップデートされた。
レンズの色変化の感度がよくなったほか、遮光率を99%にまで向上させてユーザーのプライバシーを保護する。OTA(Over The Air)技術を活用してインターネット経由でソフトウェアのアップデートを繰り返し、ユーザーのニーズに応える新たな機能を提供する。
バーチャル映像を空中の定まった場所に固定する技術も開発した。ARグラスの利用シーンが多様化し、ユーザーの動きなど環境の変化に画面が対応できるような機能が求められている。
操作についてはiOS版とアンドロイド版のアプリを公開。これによりBluetoothのペアリングや接続を必要とせずに、極低電力で通信が可能なBLE(Bluetooth Low Energy)技術によってネックバンドとモバイル機器を速やかに接続し、モバイル機器から操作することが可能だ。
また各種機能のプラグインも利用できる。例えば3DレンダリングAPI(Application Programming Interface)を使って「アサシン クリード」や「ニード・フォー・スピード」といった人気パソコンゲームを3Dで体験することができるようになった。
主にユーザーの自発的なおすすめや口コミによって利用が拡大しており、ユーザーが自ら立ち上げたVITURE Discordのコミュニティには数千人のメンバーが参加している。日本のクラウドファンディングでは開始から2週間もたたないうちに調達額の記録を塗り替えた。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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