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米商務省が昨年10月、中国の半導体メーカーに対し先端半導体やその製造装置の輸出を禁止すると、オランダや日本も今年に入ってこれに追随した。オランダでは今年9月から新たな輸出規制が施行され、先端半導体製造装置を政府の許可なく輸出できなくなる。日本でも7月から半導体製造装置など23品目を中国へ輸出するには政府の許可が必要になった。
米国をはじめとするこれらの国は、国家の安全を理由として半導体製造装置の対中輸出規制を強化している。結果として中国国内では国産製品への需要が急増しており、半導体製造装置の主要メーカーは2023年上半期の業績が大幅に伸びる見通しだ。
北京に本社を置くエッチング装置メーカー「北方華創科技集団(NAURA Technology Group)」は、23年上半期の利益が前年同期比で121.3~155.8%伸び、16億7000万元(約330億円)から19億3000万元(約380億円)になると見込んでいる。同社が7月15日に深圳証券取引所に提出した文書によると、今年上半期の売上高は43.7~64.4%伸びて78億2000万元(約1500億円)から89億5000万元(約1800億円)になる見通しだという。
同じくエッチング装置などを製造する「中微半導体設備(AMEC)」も、今年上半期の売上高が28%増の25億3000万元(約500億円)になるとの見通しを発表した。純利益も109.5~120.2%伸びて9億8000万元(約190億円)から10億3000万元(約200億円)になる見込みだという。
2社はいずれも市場シェアを拡大したことが事業成長につながっている。北方華創は業績の伸びについて「半導体製造装置事業の市場シェアが順調に拡大し、運営効率も上がり続けた結果だ」としている。中微半導体は同社のエッチング装置について「国内外の顧客から継続的に高い評価をいただいている」とした。
中微半導体は半導体製造装置メーカー「拓荆科技(PIOTECH)」の持ち株の一部を売却したことで利益の急増に繋がったとも説明している。米国からの締め付けがさらに厳しくなり、中国国内で半導体の「自給率」が上がったことで、拓荆科技の株価は2023年初めから47%も上昇している。
米エッチング装置メーカー「ラムリサーチ」などの海外企業は昨年末から従業員や事業を中国から引き揚げているため、中国の半導体メーカーは次々と国産の代替製品を探している。現状、その大多数は先端プロセスを用いたものではない。
半導体メモリー製造中国大手「長江メモリ(YMTC、長江存儲科技)」は昨年に米商務省のエンティティリスト(取引制限リスト)に掲載されたため、国産の製造装置を使って先端フラッシュメモリーを生産する計画を進めている。
半導体業界の国際団体SEMIのデータによると、半導体製造装置の中国市場への販売額は2023年1〜3月、前年同期比23%減の58億6000万ドル(約8300億円)で、北米市場やグローバル市場の出荷量の伸びとの差が鮮明になった。
世界の半導体製造装置市場は、世界経済の逆風と産業の低迷で縮小する可能性がある。SEMIが7月11日に発表したレポートでは、OEM(相手先ブランド製造)による半導体製造装置の世界での販売額が18.6%縮小し、874億ドル(約12兆3900億円)になる見通しだとしている。うち中国本土市場は24年に台湾を超え、再び世界最大の販売先となるとみられる。
米バイデン政権は現在、昨年10月より実施されている一連の規制を更新し、一部の対外投資を制限する新たな大統領令を検討中だ。
(翻訳・山下にか)
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