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液状の材料を薄く均一に塗布する装置「スリットコーター」の開発と製造を手がける「DataMaker(江蘇迪塔鎂克科技)」がシリーズAで1000万元(約2億円)規模の資金を調達した。源来資本(FountainBridge Capital)が単独で出資した。
DataMakerは2017年からペロブスカイト太陽電池向けスリットコーターの開発と製造を始め、21年には江蘇省太倉市に生産拠点を建設した。現時点で製品はすでに数十の大学や研究所、ペロブスカイト太陽電池のスタートアップや上場企業で活用されており、輸出もされている。
第3世代の太陽電池と言われるペロブスカイト太陽電池は、現在主流のシリコン系太陽電池より変換効率が高く、コストが低いなどのメリットがあるものの、まだ技術が十分に確立されていないため大規模な商用化には至っていない。スリットコーターはこのペロブスカイト太陽電池の生産に欠かせない装置であり、電池の変換効率や寿命にも大きく関わってくる。
目下、中国ではペロブスカイト太陽電池プロジェクトが相次いで始動しており、その製造設備の需要も急増している。中国太陽光発電産業協会(CPIA)の予測では、ペロブスカイト太陽電池モジュールの普及率は2030年に30%に達し、23~30年の年平均成長率は80%を超えるという。
DataMakerでは製品の改良を重ね、低粘度塗布剤用極薄膜スリットコーターは第4世代にまで進化した。創業者の朱雲国氏によると、同社のスリットコーターは多様な塗布面積や応用分野に対応し、材料使用効率と精度が高いほか、カスタマイズ可能でスマート監視システムも利用できるなど、業界でもトップレベルだという。
スリットコート法は目新しい技術ではなく、これまでもリチウムイオン電池やフラットディスプレイ、ICなどの分野で活用されてきた。しかしペロブスカイト太陽電池の製造でははるかに高い精度が求められ、面積が大きくなればなるほど均一に塗布するのが難しくなる。このためスリットコーターは業界内でも重要な攻略点と見なされている。
中国のスリットコーターメーカーのなかで、DataMakerは小~中面積向け装置で出荷台数トップを誇り、市場で一定の先行者優位を確立している。大面積向け装置も、改良された第2世代が来年3月に発売される予定だ。
シリコン系太陽電池の変換効率が理論上の限界値に近づくなか、ペロブスカイト太陽電池は次世代の電池技術として発電コスト削減の役割を担っている。さまざまなメーカーが続々とこの分野に参入し、産業化も急速に進みつつある。技術が進歩し、生産能力が拡大していけば、将来的にペロブスカイト太陽電池が太陽電池産業の主流となる見込みがある。
朱雲国氏は、引き続き研究開発を強化して世界最先端の塗布技術の確立を目指し、中国のペロブスカイト太陽光電池産業の量産を実現すべく、国内企業と力を合わせていきたいと語った。
(翻訳・畠中裕子)
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