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中国通信機器大手のファーウェイ(華為技術)が中国で同社初となる60億元(約900億円)の中期社債を発行した。
同社の目論見書によると、ファーウェイは中国のメガバンクである中国工商銀行と中国建設銀行を通じ、期限3年の中期社債を2回に分け、30億元(約450億円)ずつ発行する。
今回調達する資金は、自社本部および傘下企業の運営資金を補うために用いるとしている。同社の手掛ける各業務の拡大に伴い、営業コストや開発面での支出も増加しており、今後も安定した成長を続けるには、資金面でのバックアップも拡充する必要があると同社は考えている。
ファーウェイは、公式声明で「当社の運営に必要な資金は、主に自社の内部留保と外部からの資金調達により賄われているが、内部留保が主(過去5年間の比率は約90%)で、外部からの資金調達は補充(同じく約10%)に過ぎない。当社の経営状態は安定しており、キャッシュフローにも余裕がある」とした。
ファーウェイは今回初めて中国で債券発行を行ったが、これについて同社は、「中国の債券市場は急速に発展しており、市場の許容量は現時点で世界2位につけている。中国では債券による資金調達が重要な調達手段となっている。国内で社債を発行することにより、国内の債券市場を切り開いて資金調達の経路を増やし、調達の仕組みを最適化できる」とした。
同社は目論見書に署名した時点で、4本のドル建て社債と2本の人民元建て社債を有していたが、2本の人民元建て社債はすでに償還を済ませた。4本のドル建て社債の方はまだ満期を迎えておらず、発行残高は累計45億ドル(約4700億円)に上る。
主要格付け会社の一つである「聯合資信評価有限公司(China Lianhe Credit Rating)」の、ファーウェイと今回の中期社債発行に対する格付けは、いずれも最上級の「AAA」となっており、ファーウェイの債務償還能力は極めて高く、経済状況の変化に左右されず、デフォルトするリスクは極めて低いと評価している。また、注目に値するのは、今回の目論見書でファーウェイは初めて傘下の各事業の粗利率を公表したことだ。
上記の表が示すとおり、2016~2018年および2019年上半期では、通信、企業向けソリューション、コンシューマーの三大事業における粗利率が基本的に安定を維持している。売上が上昇するにつれて、コンシューマー事業の貢献利益が急速に伸びているが、通信事業の売上と粗利も堅調に伸びている。
2019年上半期、コンシューマー事業の粗利率は30.24%、全体の利益に占める比率は42.84%で、2016年以降その比率は上昇し続けており、通信事業に近づきつつある。通信事業の粗利率は54.71%、同社全体の利益に占める比率は51.65%。2018年から売上の面でコンシューマー事業に追い越されたとはいえ、依然として通信事業はファーウェイの主力事業であり、粗利の大半を占めている。目論見書では、さらに今年上半期の各地域における売上高も公表された。
2019年上半期、中国市場でのファーウェイの売上高は2304億6000万元(約3兆5000億円)で総売上高の58.12%を占めた。直近2年の同比率もいずれの年も52%に上っている。ファーウェイ事件以降、同社は国内市場を強化しており、国内売上の比率が顕著に伸びている。その一方で欧州や中東、アジア太平洋市場での売上の比率が低下しており、同時期の欧州、中東の比率は24.29%で、直近2年は28%前後だった。アジア太平洋地区の比率は8.98%で、直近2年は11.5%もしくはそれ以上だった。
(翻訳・虎野)
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