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中国スマートフォン・IoT家電大手の小米集団(シャオミ)がこのほど、エコシステム事業の組織改革を実施し、エコシステム内のIoT製品を重要度別にS・A・Nの3つのクラスに分類する「SAN分類管理戦略」を打ち出したことが、36Krの取材で分かった。
「最強コスパ」のスマートフォンで急成長してきたシャオミは現在、幅広いIoT製品を展開しており、それらを独自のプラットフォームで統合管理できるようにしている。「エコシステム戦略」とは、より多様なIoT製品を提供するために、自社開発だけでなく、多くのIoTデバイスメーカーに対して出資したりシャオミのリソースを提供したりすることで、有力企業を自社のエコシステム(生態系)に参加させるビジネスモデルのことだ。それにより、IoT製品のラインナップを拡大できるほか、IoTデバイス全体での収益を得ることを目指している。
関係者によると、今回の組織変革はシャオミが独自のエコシステムを構築してから10年間で最も大きな改革だという。
Sクラスは、シャオミエコシステムの将来を担う重要カテゴリで、スピーカー、ルーター、ドアロック、カメラの4分野が含まれる。市場規模が50億~100億元(約1000億~2100億円)になると期待されるカテゴリで、シャオミとエコシステム内の企業が共同で製品の開発や販売を行う。
目下、Sクラス提携企業の選定が進んでいる。スマートスピーカーでは、以前に子ども向けAIスピーカー「米兔故事機」の製造を担当した「機器島(Jiqidao)」、ドアロックでは、これまでシャオミのスマートドアロックを手がけてきた「鹿客科技(LOCKIN)」と提携する。カメラでは6社が選ばれた。ルーターについては現在のところ未定だという。
Aクラスは、市場規模が今後10億元(約210億円)を超えると予想されるカテゴリで、ノンフライヤーや炊飯器、浄水器、空気清浄機などが含まれる。このクラスの製品は、これまでと同様に提携企業が開発を担当し、シャオミブランドで販売するスタイルとなる。
Nクラスは、市場規模10億元以下のカテゴリにフォーカスする。シャオミが製品の品質を詳細に管理する一方で、価格体系やプロジェクトの基準などについては管理レベルを緩め、エコシステム企業の裁量に任せるという方式へと大きく変更した。
関係筋によると、エコシステム企業の大部分はすでに、シャオミとの戦略提携協議に署名を済ませたという。この情報について、シャオミから公式の回答は得られていない。
今回の調整は意外なものではない。シャオミのIoT事業はこれまで、製品ごとにスマート接続、清掃家電、IoTデバイス、キッチン家電、ヘルスケア・モビリティー、デジタル機器、環境家電という7つの事業部門に細かく分かれていた。少し前の会議でシャオミは、これまでの分類方法ではプロジェクト実施の効率が悪く、業務の優先順位も不明確だったことを認めたという。ここ数年はエコシステム内の各カテゴリがボトルネックに直面しており、複雑な組織構造のままでは全体の提携効率が悪化する上、プロジェクト間の競争が激しくなる恐れがあった。
今回のエコシステムの分類基準刷新に伴い、新たに設立された「S・A・N」の3つの事業部門の責任者が発表された。ある関係者は、事業部門を従来の7つから3つに絞った狙いは、優先順位の明確化にあると分析する。
シャオミは今後、Sクラスの重点カテゴリにより多くのリソースをつぎ込む一方で、市場そのものがそれほど大きくないカテゴリについては全体的な業務プロセスを簡略化する方針だという。
シャオミのIoT事業はエコシステムという仕組みに支えられ、全売上高の3分の1を担うだけでなく、多額の投資収益をもたらしてきた。とはいえ「人・クルマ・ホームをめぐるエコシステム」の構築に全力を傾け、自動車事業への比重を徐々に高めている今、シャオミはあまりに複雑なエコシステムについて再考する時期を迎えたと言えよう。
*2024年3月18日のレート(1元=約21円)で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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