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高級ブランド品を買い求める中国人は今、欧州ではなく円安で割安感のある日本を旅行先に選んでいる。
高級ブランド世界最大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが発表した2024年1〜3月期決算は、地域別の売上高で日本だけが2桁成長を遂げ、業界の注目を集めた。日本市場の売上高は前年同期比で32%増加し、総売上高に占める割合は2ポイント増の9%となった。
LVMHはカンファレンスコールで、日本市場の売上高が大きく伸びた要因の1つは円安による販売価格の上昇だとしながら、別の要因として訪日中国人客による購入の増加を挙げ、結果的に中国市場の業績にも一定の影響が及んだとの見方を示した。
グッチなどを傘下に持つ仏高級ブランド大手ケリングは23年10〜12月期の決算報告会で、日本市場の売上高に占める中国人旅行客の割合は2桁台だったが、欧州市場ではわずか5〜6%程度だったと説明した。
円安が急激に進んだ結果、日本では中国よりも10〜50%安く高級ブランド品を買えるようになった。ある訪日中国人は、日本のルイ・ヴィトンの店内は中国人だらけだったと報告している。たとえば、ルイ・ヴィトンのアイコンバッグ「スピーディ」のミニチュア版「ナノ・スピーディ」は、中国の公式サイトの販売価格は1万4300元(約31万5000円)だが、日本の店舗で免税購入すれば約1万1200元(約24万6000円)と20%以上安く手に入る。LVMH傘下のロエベやセリーヌ、伊プラダ・グループ傘下のミュウミュウには、中国より40%安く買える商品もある。
安く買えるのは高級ブランドだけではない。日本を旅行したある大学生は、中国でも大人気の「ちいかわ」グッズの代理購入を頼まれた。目当てのグッズは中国では120元(約2600円)以上で売られているが、日本の店頭では60元(約1300円)で買えるからだという。
日本政府観光局(JNTO)によると、2024年2月の訪日外国人客数は278万8000人と23年2月の1.9倍に増加し、新型コロナウイルス流行前の19年2月を7.1%上回った。しかし、中国本土からの訪日客数は46万人近くと19年2月を36.5%下回り、国・地域別では3位にとどまった。とはいえ、中国人訪日客の日本での消費額全体に影響はなさそうだ。なぜなら、ここ数年で中国人が日本旅行で求める体験が変化し、消費行動もガラッと変わったからだ。
日本の旅行アナリストは、団体旅行が大半だったコロナ禍前と比べ、現在は富裕層の個人旅行が増えていると指摘する。こうした個人客は日本に対してある程度の知識を持っており、日本で高級ブランド品を購入するほか、高級ホテルに宿泊したり北海道のスキーリゾートでの体験を求めたりする傾向があるという。高級ブランド専門の中古品店では、4月に入ってから訪日中国人客の購入額が増加し続けている上、これまでよりもユニークな商品が売れているという。
現在のところ、コロナ禍前と比べれば訪日中国人客数は減ってはいる。しかし、日本のブランド品市場が活況を示す背景には、訪日中国人客の存在がある。
円安で割安感の高まる日本の不動産が世界中の投資家の注目を集めるなか、不動産購入用の現金を手に日本を訪れる中国人も現れている。中国人向けの不動産仲介業者によると、東京のある高級住宅地では、もともと1億円だった住宅が、現在は2億5000万円前後に高騰しているという。
4月10日以降、ニューヨーク外国為替市場では円安が加速しており、30日時点で1ドル=156円台後半をつけている。円安・人民元高も進み、30日時点で1元=21円台後半となっている。
*2024年4月30日のレート(1元=約22円)で計算しています。
作者:LADYMAX(WeChat公式ID:lmfashionnews)
(翻訳・田村広子)
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