苦境の蔚来汽車(NIO)  浙江省政府と750億円規模の資金調達について交渉中

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「蔚来汽車(NIO)」の経営陣や浙江省湖州市政府に近い複数の関係者からの情報によれば、蔚来は同市呉興区と50億元(約750億円)の資金調達について交渉中だという。成立の暁には、蔚来の年間生産台数20万台の工場が呉興区に建設される。

このことについて、蔚来のCEO李斌氏は、「確かに複数の地方政府とコンタクトを取っているが、現時点でお話しできることはない」と話した。

今年5月28日、蔚来は「北京亦荘国投(E-town capital)」と枠組み協定を結び、両者で新法人「蔚来中国」を設立した上で、亦荘国投が新法人に100億元(約1500億円)出資することを決めた。

また、消息筋によると、蔚来は各地の地方政府と接触しており、呉興区はそのなかでも合意が有望だと見られている。すでに3ヶ月以上交渉を続け、資金調達額は50億〜100億元(約750億〜1500億円)の間だという。

呉興区が所属する湖州市は新エネルギー関連産業の誘致に積極的だ。政府公式サイトの情報によると、2016年8月、投資額200億元(約3000億円)の「楽視超級汽車(LeSEE)」の自動車工場が湖州市徳清県で建設されることになり、楽視超級汽車は2016年12月と2017年4月に計4.19億元(約63億円)の金額で、徳清区の土地を取得した。しかし、その後親会社である「楽視網(LeTV)」が経営危機に陥ったため、工場建設も中断されている。

2017年4月、「遊侠汽車(Youxia Motors)」も工場を湖州市呉興区で建設することにした。公式情報によれば、遊侠汽車の工場は2019年に量産開始予定で、生産能力は年間20万台だ。興味深いことに、蔚来が交渉しているのも同じく呉興区であり、生産能力も同じ20万台だ。

蔚来の工場は遊侠汽車の工場と提携するのだろうか。新エネルギー車産業の関係者の見方はこうだ。「湖州市クラスの地方政府が自動車工場を2つもサポートできるとは思えない。蔚来にとって重要なのは資金を早期調達することであり、工場の形は地方政府の計画に従うだろう」

資金調達力は自動車製造に新規参入するスタートアップにとって、最も重要な競争力だ。2018年9月12日、蔚来汽車はニューヨークで上場し米国での資金調達を開始。2019年1月末と9月初頭には、6.5億ドル(約700億円)と2億ドル(約200億円)分の転換社債を発行した。そして2019年5月28日、蔚来汽車は上述の通り亦荘国投との提携を発表し、人民元市場での資金調達も開始した。

しかし、蔚来と亦荘国投の交渉は難航を極めた。蔚来は第2四半期の財務データの公表を繰り返し延期したが、それでも交渉がまとまるには至らなかった。

9月25日、蔚来のCFO謝東瑩氏は業績電話会議において、蔚来中国の資金調達で前向きな動きがあったと話した。しかし、交渉があまりに長くかかったことにより、蔚来はすでに苦境に立たされている。財務データによれば、第2四半期末の蔚来の現金及び現金同等物、制限付現金、短期投資の残高は34.56億元(約540億円)で、第1四半期の75.37億元(約1200億円)より6億ドル(約650億円)以上減った。キャッシュ・フローが厳しさを増すなか、蔚来には亦荘国投以外の支援先も必要になるだろう。
(翻訳:小六)

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