EV性能検査の中国・清研精准、BYDや吉利など50社と提携 開発効率向上や品質確保を後押し

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電気自動車(EV)の検査ソリューションを手がける中国スタートアップ企業「清研精准(Tsing Standard)」がこのほど、中国自動車大手・長城汽車(GWM)の傘下にある長城資本から数千万元(数億~十数億円)を調達した。資金は、製品開発や市場開拓に充てられるという。

清研精准はこれまでに、検索大手百度(バイドゥ)傘下の百度風投(Baidu Venture)、石油大手シェル傘下のシェル・ベンチャーズ、奇績創壇(MiraclePlus)など複数の有名投資機関から出資を受けてきた。

2018年に清華大学蘇州自動車研究院のインキュベートによって設立された清研精准は、EVに搭載されるハードウエアとソフトウエアの試験や測定を手がけ、中国トップクラスの検査プラットフォームの構築を目指している。

EV市場の規模はここ数年急速に拡大し、求められる品質がますます高くなる中、同社が注力している検査ツールは、開発効率の向上や品質の確保、アフターサービスの強化を実現するためのカギとなる。

創業者の董漢CEOによると、車種のモデルチェンジを加速させられる同社の検査プラットフォームは、EVの開発から製造、アフターサービスまでの全サイクルをカバーし、多次元のデータを統合することで中国の自動車業界に「新たな質の生産力」をもたらした。

自動車メーカーがイノベーションを生み出すには、独自の基礎研究開発プラットフォームの構築が不可欠であり、開発や試験、測定などに使うツールが必要とされる。

董CEOによると、同社は検査ツールの中核となるハードウエアを全て自社で提供し、自動車メーカーと部品サプライヤーの開発・検査をサポートすると共に、自社で開発したソフトウエアプラットフォームを自動車メーカーに開放しているという。

同社の事業はネットワークシミュレーション、完成車・電池・部品の検査、アフターマーケット検査・関連サービスに大別できる。

完成車の検査では、電池・モーター・電気制御システム(三電システム)、シャシー、自動運転、コックピット、通信などの検査装置を開発した。電源のオンとオフ、加減速、トルクの調整、充電、故障シミュレーションといったEVの機能を検査するほか、車両の最高速度、加速性能、航続距離などの指標を測定できる。

例えばシャシーの検査装置は、インテリジェント・シャシーとそのサブシステムを対象として、ECUレベルやシステム全体といったさまざまな範囲で検査が可能なうえ、エアサスペンション、油圧アクティブサスペンション、電子制御サスペンションなどの検査にも対応している。

電池の検査では、開発・製造工程における充放電や総合機能、バッテリー管理システム(BMS)など性能と機能の検査ソリューションを電池メーカーに提供し、検査工程の自動化を後押ししている。

その他の部品サプライヤー向けには、材料調達、製造、ラインオフの各段階における検査とデータサービスを含む総合ソリューションを提供している。

EVは従来のガソリン車に比べ、独特な電気系統や高電圧アーキテクチャを採用するため、アフターサービスに高い技術レベルが求められるうえ、危険も伴う。同社は、駆動用電池のアフターサービスにフォーカスした独自の検査・メンテナンス装置の開発から始め、ビッグデータとディープラーニング技術を導入した故障診断システムを構築し、車載電池の迅速な診断とメンテナンスの提案を可能にした。

清研精准の提携先は、中国自動車大手の吉利汽車(Geely)、比亜迪(BYD)、広州汽車(GAC)、奇瑞汽車(Chery)、中国一汽(FAW)、長城汽車や新興EVメーカーの理想汽車(Li Auto)、小鵬汽車(Xpeng Motors)、蔚来汽車(NIO)のほか、電池大手の寧徳時代(CATL)、国軒高科(Gotion High-Tech)、蜂巣能源(SVOLT Energy)、欣旺達(Sunwoda)など50社あまりに上る。

中国のEV産業は海外進出の最盛期を迎え、長城汽車や比亜迪などのトップメーカーが続々と海外に進出している。こうした中、清研精准もグローバル市場を積極的に開拓し、欧州や北米、東南アジアなどで現地企業と戦略的な提携を結んだ。

産業チェーン全体で価格競争が続く中、清研精准が安定的に受注を獲得し、長城汽車の子会社などから出資を受けたことは非常に価値あることと言える。今後は開発を強化し、さらに多くの顧客により充実した検査ソリューションを提供していく方針だ。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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