中華専門宅配「HungryPanda」、三菱UFJ合弁などから約80億円を調達 24年売上高は10億ドル突破の見込み

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中華料理や食品を中心とするアジアンフードのデリバリープラットフォーム「HungryPanda(熊猫外売)」がこのほど、シリーズD+で5500万ドル(約80億円)を調達した。三菱UFJ銀行とイスラエル・Liquidity Groupの合弁会社であるMars Growth Capitalが出資を主導し、既存株主のPerwyn、Kinnevik、83North、Felixも参加した。今回の資金は海外市場の拡大と、在外華人に向けた多角的サービスの展開に使用される。

HungryPandaは2017年に英国のノッティンガムで設立され、主に中華料理や生鮮食品を在外華人や留学生、旅行客などに宅配するサービスを手掛けている。設立以来、英国、フランス、オーストラリア、米国、シンガポールなど世界10カ国の80都市以上でサービスを提供し、10万店以上が加盟、配達員は8万人、利用者登録は650万人以上で、1日当たりの華人利用者は10万人を超える。

同社はこれまでに累計で2億2000万ドル(約330億円)の資金を調達してきた。2021年にシリーズDで1億3000万ドル(約190億円)を調達し、オーストラリアのデリバリー大手「EASI」とニュージーランドで華人向け生活サービスプラットフォームを展開する「掌上新西蘭」を買収した。

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HungryPandaの事業の柱は中華料理の宅配だ。近年は、世界中の留学生宿舎数千カ所と提携して新入生向けにギフトパックを提供するといったオフラインでの宣伝のほか、オンラインコミュニティなどを通じてターゲットとするユーザーにリーチしている。また、グーグルやフェイスブックなどのメディアを使ったマーケティングや加盟店との協力により、海外のオフィスワーカーや華人を呼び込んでいる。

配達はクラウドソーシングの形式をとり、Uber Eatsなどのプラットフォームと配達員を共有している。配送能力を高めるためスマート調整システムを独自に開発し、天候やオーダー数、距離などに基づいて臨機応変に配達を割り振り、状況に応じて手数料を追加するメカニズムを取り入れ多くの配達員を集めている。

Hungry Pandaの配達員(企業提供)

HungryPandaの劉科路CEOによると、プラットフォームの運営を開始した当初、海外では中華レストランの料理宅配という業態は中国ほど完成されておらず、容器や包装資材が不十分なために中身がこぼれてトラブルがたびたび発生したという。また海外諸国が続々とプラスチックのパッケージ禁止を打ち出し、華人経営者を悩ませていることにも気づいた。

そこでHungryPandaは中国国内で構築していたサプライチェーンを活用し、まずそれぞれの国の法律に沿ったパッケージ素材を提供した。生分解性プラスチックの袋やペーパー、容器などを提供し、店舗の調達コストを削減してサービスの質を高めた。さらに、ブランド専用にカスタマイズしたいという要望があれば、プラットフォーム経由でまとめて購入できるようにした。

2022年には生鮮食品の配送業務も開始した。中国、欧州、東南アジアで調達チームを組織し、食品や飲料、日用品などを選んで調達。セントラル倉庫に保管し、消費者はオンラインで注文する。現時点では英国のみで実施しており、セントラル倉庫1カ所と配送拠点4カ所を設け、サービス対象エリアの配送時間は3時間以内、遠い地域でも翌日配送を実現した。

劉CEOは、2020年に北米でサービスを開始し現在35都市で展開しているが、まだ目標とは大きな開きがあるとし、サービスをより定着させるため、都市の規模に応じて市場開拓するのではなく、都市を小さなエリアに分けてきめ細やかに運営するとした。

北米エリアにおけるGMV(流通取引総額)は大幅に拡大し、その他のエリアでも黒字化を実現した。今年の年間売上高は10億ドル(約1480億円)を突破すると見込んでいる。

HungryPandaには英語、フランス語、日本語、ハングルなどのバージョンもあり、それぞれの言語ユーザーの習慣に応じて改良を進めている。こうした言語が話される国でサービスを展開するだけでなく、国外で生活する各言語のユーザーに向け今年半ばから試験的にサービスを開始した。

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劉CEOは、今後さらに多くの言語でサービスを拡大し、海外の中規模都市にも進出する方針を示しているほか、現在の倉庫や物流システムを活用して飲食店に生鮮食品を配送する法人向けサービスを実施し、宅配の上流・下流にもサービスを拡大したいと考えている。

*1ドル=約148円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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