TikTokを生んだ世界最大のユニコーン「バイトダンス」が香港上場を検討 創業7年の歴史と問題点をダイジェスト

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

TikTokを生んだ世界最大のユニコーン「バイトダンス」が香港上場を検討 創業7年の歴史と問題点をダイジェスト

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

各国で大ヒットした短編動画アプリTikTokを世に放ち、評価額750億ドル(約8兆2000億円)をつける世界最大のユニコーンとして知られる中国企業バイトダンス(字節跳動)がIPOを検討していると伝えられた。

29日付(現地時間)の英紙フィナンシャル・タイムズは匿名の関係者2人からの情報として、バイトダンス社が早ければ2020年第1四半期にも香港取引所で新規株式公開(IPO)を行う計画だと報じた。伴って、同社はすでに米法律事務所K&Lゲイツのチームに公共政策に関する助言を求めているという。バイトダンス社の責任者は上場計画に関し、詳しいコメントを避けている。

中国のテック系ニュースメディアcnBeta.COMの報道によると、バイトダンスの今年上半期の売上高は予想を上回り、500億~600億元(約7700億~9200億円)だった。匿名の関係者によると、上半期全体では赤字を計上しているものの6月には黒字に転じており、同社は下半期の黒字化にも自信をみせているという。

2012年の創業から7年。昨年末の評価額は780億ドル(約8兆5000億円)にまで達した。7月に発表された公式データでは、同社傘下のアプリ全体の月間アクティブユーザー(MAU)は全世界で15億人、デイリーアクティブユーザー(DAU)は7億人に達した。

AIアルゴリズムに関して勘所をつかんだバイトダンスは、2012年8月にニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」をリリース。アクセス数獲得の手法で爆発的な力を発揮した。2016年からは相次いで3つの短編動画アプリ「火山小視頻(Vigo Video)」「西瓜視頻(Xigua Video)」「TikTok(抖音)」を発表し、TikTokは最後発ながら破竹の勢いでヒットアプリに上り詰めた。

しかし、バイトダンスはこれだけで満足してはいなかった。

2015年からはグローバル戦略を展開。同年8月に今日頭条の海外版「TopBuzz」をリリースしたのを皮切りに、翌年10月にはインド最大のコンテンツアグリゲーター「Dailyhunt」に出資、また同年12月にはインドネシアのニュースアグリゲーター「BaBe(Baca Berita)」の株式を取得し、わずか数年で北米、欧州、日本、東南アジアなどに進出を果たしている。

中でもTikTokはすでに150の国・地域でサービスを提供し、75言語に対応している。TikTokが特に重視するのは米国、日本、インド市場だ。モバイルアプリ専門の米調査会社Sensor Towerによると今年9月、TikTokはAppStore(米国)のランキングで複数回にわたり上位3位圏内に入る人気アプリとなっている。

とはいえ、海外ではTikTokに対する逆風も吹き荒れている。

米テック系ニュースメディアThe Vergeによると、フェイスブックはTikTokの世界展開を阻止するアプリとして「Lasso」を密かにローンチしており、今後はTikTok未進出のメキシコ市場に攻勢をかけていく計画だという。またグーグルもTikTokへの対抗策として短編動画アプリ「Firework」の買収を検討しているという。

さらに、安全上の問題を指摘する声も聞かれる。

今年2月、米連邦貿易委員会(FTC)はバイトダンスに対し、570万ドル(約6億2000万円)の罰金を科した。理由は13歳以下の若年ユーザーの個人情報を違法に収集したことだという。さらに今年第2四半期には、インド政府がAppStoreに対してTikTokの取り扱いを中止するよう要求した(現在ではダウンロード可能になっている)。TikTokは現在、米国市場において第三者による監督管理体制を導入し、不適切コンテンツの自主管理や個人情報保護に努めている。

ブルームバーグの報道によると、バイトダンスはさらに前出のニュースアプリTopBuzz米国版を売却する方向で検討を進めているという。
(翻訳・愛玉)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録