中国、EVモーター製造装置の国産化が加速 有力企業が数十億円の資金調達

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中国の駆動用モーターの製造装置メーカー「巨力自動化設備(Juli Automation Equipment)」(以下、巨力自動化)がこのほど、数億元(数十億円超)を調達した。出資は国投招商(SDIC Fund)が主導し、 中車資本(CRRC Capital)と蜂雲資本(Svolt Capital)も参加。資金は、次世代モーターソリューションの研究開発やグローバルな生産能力の拡大に充てられる。

巨力自動化は2011年に設立され、モーター製造装置の開発と製造に注力している。中国政府が推進する「専精特新(専業化・精密化・特色化・革新化)」政策のもと、最初に「小巨人企業」に認定された企業の一つだ。1989年に設立された前身企業の期間も含めると、30年以上の歴史を持つ。

同社の製造装置は主に電気自動車(EV)分野で活用され、吉利汽車(Geely)や長城汽車(GWM)、上海汽車(SAIC)といった中国大手自動車メーカーのほか、中国の英博爾(Empower)、韓国のLGエレクトロニクス、日本のアイシン、仏ヴァレオ(Valeo)など国内外のティア1サプライヤーとも提携している。

世界の自動車産業がEVシフトが進む中、中国のEV産業は高度化と構造転換を迫られ、中核部品の製造装置が重要な役割を担うようになった。モーターはEVの中核部品で、車両の出力とエネルギー効率を左右する。その中でここ数年は「フラットワイヤーモーター」技術の採用が新しいトレンドとなっている。

フラットワイヤーモーターとは巻線に平たい銅線を用いた駆動用モーターで、従来の丸線タイプに比べてエネルギー変換効率や出力密度、放熱性に優れ、重さとサイズを抑えられるという。

調査会社の匯睿咨詢(Bosson Research)によると、自動車メーカーは2020年以降、フラットワイヤーモーターへの切り替えを加速させている。調査では、世界のフラットワイヤーモーター市場の規模は23年の236億元(約5000億円)から25年には708億元(約1兆4900億円)となり、年平均成長率は73.21%に達する見込みだ。

巨力自動化は2017年、EVモーターに使うステータの自動製造装置を独自開発し、初の純国産となるフラットワイヤーモーター用ステータ自動生産ラインを建設した。生産ラインの精度や効率、安定性などの主要指標は世界トップレベルに達し、海外の大手ティア1サプライヤーからも受注を獲得している。

駆動用モーターの自動製造装置は長らく欧州企業が技術的にリードしており、価格が高く納品までの期間が長い傾向があった。一方、中国国内の多くの企業は技術的に劣り、納品能力においても十分なパフォーマンスを発揮できていなく、市場の評価は高くない状況が続いている。

この現状を踏まえ、巨力自動化は技術革新を続けて、フラットワイヤーモーター用ステータ製造装置の開発において顕著な進展を遂げた。同社の生産ラインでは、成形サイクルが安定して1秒/ピンの水準に達しており、位置決め精度や製品合格率などの指標の国際的にトップクラスの水準を実現している。また、10年近く蓄積されたノウハウにより、高精度かつ迅速な生産ラインの開発・納入が可能になる。

巨力自動化は海外展開も加速している。2024年に自動生産ライン2本の受注を獲得し、セルビアに初の海外工場を建設中だ。今後は欧州市場を中心にさらなる事業拡大を図る方針だ。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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