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VR(仮想現実)デバイス市場の拡大や、電気自動車(EV)のスマート化に伴い、高性能の光学部品に対するニーズが増大している。そのニーズに対応すべく技術開発を重ねている企業の一つが「微瑞光学(URoptics)」だ。
2022年に設立された同社は、ウエハーレベル光学部品の設計や製造を手がけている。主な製品にはマイクロレンズアレイ(MLA)、シリコンレンズ、曲面対応の光学フィルムラミネート、ホログラフィック光学素子(HOE)、回折光学素子(DOE)、光導波路(WG)、ディフューザー、メタ光学素子レンズ(MOE)などがあり、クロスリアリティー(XR=VR、AR、MR)や車載光学機器、指紋認証などに活用されている。
ウエハーレベル光学部品(WLO)とは、半導体プロセスを用いて製造したウエハーレベルの光学部品のことで、薄く小さな部品を一度に多く生産できるというメリットがある。
微瑞光学でマーケティング・資金調達の責任者を務める応鶯氏によると、同社は垂直統合型メーカーとして先進的な光学部品の設計能力と製造プロセスを有しており、主力製品はオーストリアのams OSRAMなど光学機器の世界大手をベンチマークとしている。主に、クロスリアリティー(XR)や車載光学機器の分野で実用化を進めており、VR・ARデバイスメーカーのほか、完成車メーカーやティア1サプライヤーに光学部品やソリューションを提供している。
XRの分野では、没入型プレーの際の「ゴースト現象」と「光漏れ」の問題を解決した。独自開発した位相補正技術と先進的な曲面スクリーンラミネート技術を活用して、モジュール内の光の偏向を追跡し、位相を計算して最適な位相差フィルムを設計。モジュール内の迷光を減らし、画質やユーザー体験を向上させることに成功した。この技術は中国や米国、欧州で特許を出願しているという。
また、同社の技術は自動車のヘッドライトにも応用されており、MLAやLiDARなどを利用した精密で双方向性の高いヘッドライトの開発が進められている。現在のところ、自動車向けウエハーレベル光学部品は市場集中度が高く、ams OSRAMやスイスのSUSS MicroOptics SAなど上位5社の売上高が全体の66%を占めるなど、海外企業による寡占状態にある。
微瑞光学が自動車向けに開発したMLAソリューションは、ヘッドライトとLiDARシステムの高度化をサポートする。ヘッドライトの「目」に相当するウエハーレベル光学部品は、ライトが均一で明るく、特定の形状の光を放てるようにし、夜間走行時の安全性を高めるほか、自動車をよりスタイリッシュに見せる効果もある。
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さらに、ドア下の路面に光で模様を映し出す「ウェルカム・ライト・カーペット」で特別感を演出することも可能だ。同社のMLA技術はウェルカム・ライト・カーペット以外にも、ウィンカーやバックランプ、アダプティブヘッドライトなど、先進運転支援システム(ADAS)を活用したさまざまなシーンに応用できる。
応鶯氏の説明によると、XRや家電の分野では、中国受託開発・製造(ODM)大手の華勤技術(Huaqin)や鳳凰光学(Phenix)、北米企業のサプライチェーンに製品を供給しているという。自動車分野では、すでに製品の量産を実現して、中国EV大手の比亜迪(BYD)やカナダのマグナ・インターナショナルに納入しているほか、大手完成車メーカーや世界的なティア1サプライヤーのサプライチェーンに参入している。
微瑞光学は2024年12月に、プレシリーズAで2回にわたり計1億元(約20億円)近くを調達したばかり。華勤技術の投資子会社と上汽集団傘下の尚頎資本がそれぞれの出資を主導し、江陰人材基金なども加わった。調達した資金は、新たな製品ラインの開発や商品納入、マーケティングに用いられるという。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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