中国発「ねじ締め専用ロボ」、最大30%の効率化・誤差1%精度 BYDなどに導入拡大

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ねじ締めロボットを手がける中国スタートアップ「頂配機器人(SLABOR)」がこのほど、シードラウンドで梅花創投(Plum Ventures)から数千万元(数億円超)を調達した。資金は技術のアップデートや製品ラインの強化、市場開拓に用いられる。

頂配機器人は2016年に設立され、広東省深圳市に本社を構える。製造業におけるねじ締め工程の自動化に特化し、人工知能(AI)搭載のねじ締め専用ロボットやスマートツール、ワークステーションを独自に開発している。製品はすでに新エネルギー車大手の比亜迪(BYD)、スマート家電大手の科沃斯(エコバックス)、バッテリー大手の欣旺達(サンオーダ)などで導入されている。

ねじ締め専用のワークステーションも独自に開発

世界のねじ締め関連市場は100億元(約2000億円)規模を超えるが、手作業によるねじ締めは効率が悪く、品質にばらつきが生じるほか、人件費の高騰などに悩まされている。また、従来型のXYZ軸モジュール構造のねじ締めロボットは、高度な製造現場のデータ取得が困難で、カスタマイズにコストがかかり、製品の改良やバージョンアップに対応できないなどの課題を抱えている。

創業者の白鋒鋒氏は、新エネ車やスマート家電などの開発サイクルは短くなっており、組み立てやねじ締めの工程ではこれまで以上に高い信頼性が求められていると指摘する。ねじ締め作業の安定性やロボットの柔軟な対応力、製造プロセスのデータ化がいっそう重要になってくるため、同社はねじ締めロボットとねじ締めツールを組み合わせたソリューションが最適だと判断した。

ねじ締めロボットとねじ締めツールを組み合わせたソリューションを売り込む

ねじ締め関連市場は長らく、セイコーエプソンやスウェーデンのアトラスコプコなど海外企業の寡占状態にあり、そのソリューションは高価で操作が複雑なうえ、サポートサービスも不十分だった。中国国内では、匯川技術(Inovance)や埃斯頓(Estun Automation)といった企業が産業用汎用ロボットの開発を手がけているが、特定の工程専用のロボット市場は依然としてブルーオーシャンとなっている。

とはいえ、既存のねじ締めソリューションはロボット本体や電動工具、ビジョンシステムなど多くのコンポーネントを必要とするため、コストが高く、互換性にも乏しい。一方、専用ロボットと独自開発のねじ締めツールを組み合わせた同社のソリューションなら、トータルコストを市場に出回る同等製品の6割程度に抑えられ、納品までの時間も大幅に短縮できるという。

主力ロボット「SCARA」には、自社開発のスマートねじ締めツールが搭載されており、繰り返し位置決め精度は業界トップクラスを誇る。M0.8からM10まであらゆる規格のねじに対応し、1本当たりのねじ締め効率は15~30%向上する。ねじ締めツールはセンサーを通じてトルクや角度、圧力をリアルタイムでモニタリングし、誤差1%の精度で制御できる。

ロボットの制御とねじ締めプロセスを高度に統合したソフトウエアは、ガイド形式で簡単に操作でき、図面とビジョンシステムを組み合わせたデモンストレーション機能を備え、設備導入にかかる時間を最短1時間にまで短縮する。

商用化も着実に進んでいる。新エネ車メーカーのBYDや長城汽車(Great Wall Motor)、スマート家電のエコバックスや石頭科技(ロボロック)など大手企業で導入されているほか、2024年からは販売ネットワークを通じたマーケティングで、ねじ締めロボット・ねじ締めツールの普及を進めてきた。販売パートナーはすでに100社近くに達しており、引き続き「ロボット・ソフトウエア・サービス」を一体化したソリューションに注力していくという。

今後は、性能・価格・使い勝手の改善に重点を置く方針だ。製品構造については、組み合わせ自在のブロック構造とし、部品の再利用率とカスタマイズ性を高めていく。ソフトウエアに関しては、使用シーンや業務フローを最適化し、データ連携インターフェースの強化を図る。技術面では、業界特化型のAIモデルを導入し、複雑な状況で確実にねじ締めを行い、より特殊な作業環境にも適応できるようにするという。

*1元=約20円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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