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タイ政府が電気自動車(EV)メーカーに対する補助金制度の見直しを検討している。きっかけとなったのは、中国の合衆新能源汽車(Hozon Auto)が展開するEVブランド「哪吒汽車(Neta)」のタイ法人が直面している問題だ。
合衆汽車は現在、深刻な経営難に陥っており、中国で再建型の破産手続きに入っただけでなく、世界的な販売台数も減少の一途をたどっている。資金繰りを改善するため、同社はコスト削減を進めながら、目前に控えたシリーズEの資金調達に活路を見いだそうとしている。
タイに設立された哪吒汽車の子会社「Neta Auto Thailand」は、タイ国内での生産義務を履行できなかったため、タイ政府のEV普及策「EV3.0」に伴う補助金の受給資格を失った。同社は現地での販売台数を伸ばすため、ここ数カ月にわたり大幅な値下げを実施してきた。
タイ政府の進めるEV3.0は、EVメーカーにとって非常に魅力的な政策だ。とくに初期の「加速フェーズ」では、BEV車両1台あたり最高15万バーツ(約67万円)の補助金が支給されるほか、一定台数までは完成車の輸入関税が免除されるなどの優遇を受けられる。
しかし、補助金を受け取る企業は、輸入台数の1.5倍を現地生産する義務がある。これに基づけば、哪吒汽車が今年タイで生産すべきBEVは1万9000台だが、現時点での生産台数はわずか4000台にとどまっている。
実は、哪吒汽車はこれまでにタイ政府から20億バーツ(約90億円)を超える補助金を受け取っている。しかし、資金繰りの問題で生産目標を達成できなかったことから、タイ当局との会合で、残る4億バーツ(約18億円)の補助金支給を停止するとの通告を受けた。
タイ財務省のパオプーム副大臣は、哪吒汽車の現状を受けて、同省が関連規則の修正を国家電気自動車政策委員会に求めたことを明らかにした。財務省が提案した新規則では、EVメーカーに対して2カ月ごとに補填生産計画の提出を義務づけ、これに違反した場合は補助金の支給を停止できるようになる。
現行の補助金政策では、EVメーカーが年間輸入台数の1.5倍を年内に現地生産することを義務づけており、12月末までに生産未達だった場合に初めて補助金停止などの措置を講じることができる。パオプーム副大臣は、たとえ年内の生産目標達成が困難でも、12月の期限を迎えるまではメーカーに対して具体的な措置をとることはないとした。さらに、今回の補助金制度の見直しは、今後同様のケースにも首尾よく対応できるよう、仕組みをより適正で明確なものにする目的があることを強調した。
現在の補助金の申請プロセスは、EVメーカーがまず値引きして販売し、後日その値引き分を政府に請求する形になっている。すでに補助金の適用価格で購入した消費者については、今回の制度変更による影響はないと、パオプーム副大臣は明言している。
タイ政府によるEV補助金制度の見直しは、哪吒汽車だけでなく、タイに生産拠点を構えるほかの中国EVメーカーにも大きな影響を及ぼす可能性があり、今後の動向が注目される。
中国EV最大手の比亜迪(BYD)でブランド・広報部門責任者を務める李雲飛氏は、今年6月に開催された「2025中国自動車重慶フォーラム」で、国内市場ですら苦戦しているEVブランドが海外進出を強行するのは賢明とは言えず、中国ブランド全体のイメージを損なうことにもなりかねないと指摘した。
*1バーツ=約4.5円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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