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量子コンピューティング技術を手がける「華翊博奥(北京)量子科技(Huayi Quantum)」(以下、華翊量子)がこのほど、シリーズAで数億元(数十億円)を調達した。社保基金中関村自主創新専項基金、北京信息産業発展投資基金およびレジェンド・キャピタル(Legend Capital)が共同で出資を主導した。調達した資金は量子コンピューティング技術の開発や産業応用の促進に用いられる。
2022年1月に設立された華翊量子は清華大学量子情報センター(CQI)発のスタートアップで、創業者は中国科学院院士(アカデミー会員)でCQI主任の段路明教授。同社はイオントラップ方式の量子コンピューティング技術に注力しており、通信技術や金融、医薬品、エネルギーなどの産業分野に向けてイオントラップ方式の量子コンピューターやクラウドベースの演算サービスを提供している。
イオントラップ方式の量子コンピューターは、イオンを真空環境に閉じ込め、レーザーでその量子状態を操作して量子ビットとして用いる。華翊量子は、イオンの量子ビットが持つ特性を生かし、コヒーレント時間の長い均一な量子ビットや高忠実度の量子操作、汎用的な量子論理ゲート、高品質で拡張性に優れたイオントラップシステムを提供するほか、独自の特許技術による高速・効率的な単一量子ビットのアドレス指定システムを備えている。
同社の姚麟CEOは、量子コンピューティングの商用化は今ようやく始まったところで、短期的に最も有望なのが研究分野での活用だと考えている。量子コンピューティングの強みは主に、従来型コンピューターをしのぐ高い性能、新たな研究分野を切り開く可能性、AIブームに伴う演算ニーズの高まり、の3つに集約される。
華翊量子は、世界初となる高次元量子ビットアレイをベースにしたイオントラップ方式の量子コンピューティングアーキテクチャを打ち出した。この方式は、量子ゲート操作のスピードと高忠実度を維持しながら、単一システムにおける有効な量子ビット数とその接続性を大幅に高めることができる。独自開発した第2世代イオントラップ方式の量子コンピューターの商用プロトタイプ「HYQ-B100」は、100量子ビット超の性能を誇るほか、忠実度やコヒーレント時間などの主要な指標でも世界トップクラスを実現した。
「イオントラップ方式の量子コンピューターは、性能を向上させながらコストを抑制できる。現時点で最も理想的な選択肢だ」と姚CEOは話す。現在、同社の製品は主に研究機関での演算業務に活用されており、昨年は関連事業の売上高が全体の8割以上を占めた。主な提携先は研究機関や大手国有企業の研究開発部門など。2025年の売上高は5000万元(約10億円)を超える見通しで、前年比で数倍の成長が見込まれている。
今後は、商用展開と技術開発を並行して進め、6Gモバイル通信や運用最適化、触媒反応、油層シミュレーションなど、研究分野での活用に力を注ぐ方針だ。加えて、AI分野にも量子コンピューティング技術を導入して、優れたトータルソリューションの提供を目指していく。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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