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ロボット向け触覚センサーを開発する中国スタートアップ「模量科技(Modulus)」がこのほど、エンジェルラウンドで徳寧資本から1000万元(約2億円)規模の資金調達を実施した。資金は主に製品開発やマーケティング、人材採用に用いられる。
2024年末に設立された同社は、マルチモーダルな力覚センシング技術や、触覚用人工知能(AI)モデルの開発・実用化に注力するテック企業だ。すでに触覚センサーや圧力分布測定装置、織物ベースのフレキシブルセンサー、薄膜センサーなどの製品を展開し、ロボットや新エネルギー、家電、ヘルスケアなどの分野で幅広く活用されている。
ウェアラブル端末や仮想現実(VR)、拡張現実(AR)など消費者向けデバイスのほか、義肢や手術支援ロボットなどの医療・ヘルスケア、人型ロボット・ロボットハンド、産業オートメーションの分野が発展する中、世界の触覚センサーおよびフレキシブルセンサー市場は急成長しており、技術改良や活用シーンの拡大によって需要が拡大し続けている。
創始者の官華氏は触覚センサー業界について、まだ技術基準や製品規格が確立されていないため、オーダーメイドが多く、開発や生産のコストを押し上げていると説明した。また、従来の工業検査はほとんどが、スタッフの目視や判断に委ねられており、例えば圧力測定フィルムを使った検査では、手作業による誤差が大きく、データをリアルタイムに取得できないなどの課題があったと指摘している。
フレキシブルセンサーは一般的に、検出範囲や感度に限界があることや、温度ドリフトの大きさが課題とされている。そこで同社は、感度が高く弾力性に富む材料に加え、微細構造を作る生産技術を独自に開発し、センサーの検出範囲、精度、感度を大幅に向上させた。また、多次元触覚センシング技術も実現し、3次元方向の力、接線力、摩擦力などの検出を可能にするAIアルゴリズムを搭載することで、ロボットやロボットハンドがより高精度なセンシングと姿勢判断ができるようにした。
さらに、センサーの材料開発からハードウエア、アルゴリズム、システムまでを一貫して手がけ、データ収集・キャリブレーション・解析ツールなどを統合した製品を提供する体制を整備。ユーザーにとって扱いやすい製品づくりを追求している。
官氏は、「当社は独自に開発した温度補償材料技術によって、圧力と温度の同時検出が可能になり、業界で難題とされてきた環境に対するセンサーの安定性を根本的に改善した。また、独自開発の機能性材料を添加したマイクロナノ3Dプリント技術により、フレキシブルアレイ圧力センサーの大量生産を低コストで実現した。その性能は国際的な競合製品に匹敵するだけでなく、いくつかの指標では他社製品より優れており、コストや価格面でも大きな強みを持っている」と説明する。
現在の主力製品には、ロボット用の多点アレイ圧力センサー「Sシリーズ」、3次元力覚対応の「Tシリーズ」、マルチモーダル圧力センサー「Mシリーズ」などがあり、人型ロボットやロボットハンド、アームといったエンボディドAI(身体性AI)開発企業を主な顧客としている。
そして、工業向けにはリアルタイム圧力分布測定ソリューションを展開。リチウムイオン電池や蓄電、スマートフォン、スマートグラス、ディスプレイなど3C製品の製造現場への導入が進んでいる。さらに、スマートコックピット、スマートベッド、スマート枕、スマートウェアの分野で活用される織物ベースのフレキシブルセンサーの開発にも力を入れている。
同社はすでに量産と安定出荷が可能な体制を構築しており、2025年の受注額は1000万元(約2億円)に達する見込みだ。すでにロボティクス、産業、製造業界の有力企業と複数の提携を結び、製品納入を進めているという。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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