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ロボットハンドを開発する中国のスタートアップ「北京達奇月泉仿生科技」(以下、月泉仿生)がこのほど、世界最高となる38自由度を備えた新製品「Y-Hand M1」を発表した。
同社は2022年8月に設立され、人型ロボットや中核部品の研究開発を手がけており、ロボットハンドの「X-Hand(信手)」「Y-Hand(応手)」シリーズやフルサイズの車輪付き人型ロボット「W-Bot」、二足歩行ロボット「X-Bot」を展開している。
手全体で38自由度を持つ「Y-Hand M1」は、人間の手に近い触覚を持ち、一般的なロボットハンドを大きく上回る性能を備える。握力は最大28.7kgと従来比6倍以上に達し、わずか0.2秒で5本の指を閉じることが可能で、指先を繰り返し動かす際の位置決め精度も0.04mmを実現した。
人間の手のようなロボットハンドは、自動車や3C(コンピュータ、通信機器、家電)などのスマート製造、巡回点検・メンテナンスの分野で幅広い活用が見込まれており、生産効率や製品の品質を大きく向上させることが期待されている。また、同社が将来的に参入を目指す家事手伝いや介護の分野では、産業用途を超える精細な動作と人との安全なやり取りが求められるため、高い技術的ハードルを乗り越える必要がある。
「Y-Hand M1」が採用するコア技術は、創業者の任雷教授が世界で初めて確立した「丈夫でしなやかなバイオミメティクス(生物模倣)ロボットの理論と技術」に由来する。任教授によると、バイオミメティクスロボットとは、人体の筋骨格系のように圧力を受け止める硬質部材(骨格や軟骨など)と張力を伝達する軟質部材(靭帯、筋肉、腱など)で構成される、耐久性と柔軟性を兼ね備えた構造だ。
この技術を採用したことで、同社の製品は複数の革新的な性能を実現した。例えば、関節は6自由度で3次元の自然な動きを可能にしたほか、独自に開発した電気駆動式人工筋肉により、人体の筋骨格のような力学特性を再現し、出力密度の高い動きを実現した。また駆動、変速、伝動の機能が一体となった動力システムも開発した。
「Y-Hand M1」は、基本的な把持パターン全33種類を含む人の手のような細かく正確な動きが可能だ。例えば、カードを指先でつまんで摩擦を加えたり、親指と人差し指で糸を針穴に通したり、ペットボトルのキャップを開けたり、本のページをめくるといった細やかな操作もスムーズにこなす。
米テスラのマスクCEOはかつて、人型ロボットの開発ではロボットハンドに労力の半分を費やすため、コストに見合った性能を実現するのが難しいとの見解を示した。月泉仿生は、ロボットハンドを生産ラインに導入するためには、タスクの成功率を人間の手とほぼ同じ98%ほどのレベルに高める必要があると考えた。そこで、低価格競争には参入せず、安定性・信頼性・正確性を重視した開発コンセプトを掲げ、機能や用途定義を優先した開発を進めているという。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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