中国の自動運転トラック、隊列走行で効率2割改善 海外にも投入

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自動運転トラックを開発する中国のスタートアップ「主線科技(Trunk Tech)」がこのほど、北京市順義区高精尖(高度・精密・先端)産業基金や国投創益(SDIC Chuangyi)などから数億元(数十億円超)の資金を調達した。資金は主力製品の量産や物流シーンの開拓に充てるという。

主線科技は2017年設立、レベル4の自動運転技術の開発に注力しており、自動運転トラックを活用したスマート物流ソリューションを提供している。これまでに自動運転トラックを約1000台納車・運用し、走行距離は累計1億kmに迫る。

現在は天津港や寧波舟山港、広州港など主要港湾や陸上通関地と提携するほか、德邦物流(Deppon Logistics)や中通快逓(ZTO Express)をはじめとする大手物流企業とも協力して、全国の主な幹線物流ルートでスマート輸送を展開している。

創業者の張天雷氏は、技術開発から製品化、商用化までを一貫して手がける「オールラウンド自動運転企業」を目指してきたことが成果につながったと語る。

主線科技は早くから「BEV(鳥瞰図)」と深層学習モデル「Transformer」を取り入れ、エンドツーエンド(E2E)技術やAI技術を積極的に導入してきた。現在は、AIが仮想世界で迅速に学習と改良を進められるよう「世界モデル(World Models)」の構築に注力している。

自動運転トラックの価値は、複数の車両が協働するスマート輸送システムの構築にある、と主線科技は考えている。そのため、同社は単独車両向けの自動運転システム「AiTrucker」から、複数の自動運転トラックによる隊列走行システム「Trunk CAFC」へと進化する技術ロードマップを描いた。

スマート輸送向けに開発されたAiTruckerは、マルチセンサーフュージョンや高性能の中央演算プラットフォーム、独自開発のエンドツーエンドVLA(Visual Language Action)モデルを採用し、自動運転レベル2からレベル4までをサポートする。商用車プラットフォーム(車台)への柔軟な対応が可能で、幅広いシーンへの拡張性も備えている。

Trunk CAFCは、単独車両の自動運転システムで培った技術をベースに開発したスマート隊列走行システムだ。自動運転技術や車車間通信、車路クラウド協調などのコア技術を高度に融合させることで、先導車1台が運転支援機能を活用して走行し、複数の後続車両は自動運転で追従するという「ハイブリッド隊列走行」を実現する。

主線科技の試算によれば、Trunk CAFCの導入により、トラック隊列の運用コストを20%削減でき、省エネ効果は18%、二酸化炭素の削減効果は22%上昇するという。

同社は中国重型汽車(Sinotruk)、一汽解放汽車(FAW Jiefang Automotive)、三一重卡(SANY Group)といったトラック大手と計20車種以上で提携している。このため、各車種に適応できるよう自動運転システムの汎用化と標準化を進め、かつ低消費電力と高い信頼性を実現することが量産するうえで一番の課題となっている。

張氏は「ここ数年、当社はスマート大型トラックの納車や運用において業界をリードする立場を維持してきた」と強調する。納車後のスマート大型トラックは、パートナー企業による独立運用または主線科技との共同運用で稼働する。同社はAIを活用した車両運用や保守管理をパートナー企業に提供し、単独車両の作業効率向上と隊列走行のコスト削減をサポートする。

現在の事業展開の中心は港湾などの物流ハブだ。なかでも天津港と寧波舟山港は代表的なモデルプロジェクトに位置づけられている。それに次ぐ主力分野の道路貨物輸送では、商用車メーカーや物流大手などと提携し、宅配便や高速輸送、石炭の大口輸送などに対応したスマート物流サービスを提供している。長期的には、港湾(物流ハブ)、道路貨物輸送(幹線物流)、都市内配送(末端輸送)の三大分野で「3:5:2」の比率で収益化する方針だ。

海外市場の開拓も推進しており、すでに東南アジア、中東、南米などの複数の国に計100台近くの自動運転トラックを出荷している。国内向けに比べると海外向け出荷はまだ少ないが、張氏は「国内で培った経験をもとに海外でも出荷を急拡大できる」と自信を示している。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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