EV充電ステーションの管理をSaaSで行う米「EV Connect」 三井物産らが出資

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

EV充電ステーションの管理をSaaSで行う米「EV Connect」 三井物産らが出資

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

EV(電気自動車)の充電ステーション管理ソフトウエアを手掛ける米「EV Connect」がシリーズBで1200万ドル(約13億円)を調達したと海外メディアが伝えた。リードインベスターは三井物産とEcosystem Integrity Fund。EV Connectは現時点ですでに2590万ドル(約28億円)の調達を終えており、資金は現在の充電ステーションネットワークの拡大やサードパーティー充電設備のさらなる統合に充てられる。

2012年創業の同社はPaaS「EV Cloud」を開発し、EVの充電設備のオンライン管理に活用している。法人顧客は主に、充電ステーションの個人運営者、充電スタンドを設置している駐車場、ホテル、ショッピングセンターおよび電気バスを管理する政府交通部門である。また個人顧客は、公共の充電スタンドを利用するEV所有者だ。

顧客企業は、自社傘下の充電スタンドをEV Cloudの充電ネットワークに接続すれば、同プラットフォームにアクセスし一連の操作を実施できる。まず、EV Cloudのネットワーク・オペレーション・センターでは充電ステーションの各種データの動的更新ができる。企業顧客はこのサービスを通じて充電ステーションの運営状況を遠隔モニタリングでき、各充電スタンドの使用状態に即時アクセスし、性能統計レポートを取得した上で、日常メンテナンスや故障一斉検査を定期的に行える。

EV Cloudはさらに企業顧客に対して充電管理プラットフォーム(Charging Management Platform)を提供し、充電ステーションにおける顧客識別と充電費用の徴収をサポートしている。また顧客の使用データの分析に基づく自動価格決定も支援する。例えばピーク時にはやや高い費用を徴収したり、常連客にはやや低い価格を提示したりといった内容だ。EV Cloudはこれらに加え、企業顧客の個人顧客に対する割引券の発行、会員制およびポイントプランの制定もサポートし、顧客のつなぎ止めにも一役買っている。

さらに重要な点として、EV Cloudは個人のEVドライバー向けに自動車充電アプリ(Driver Charging App)を提供している。航続距離に関する不安を緩和すると同時に、顧客企業の充電ステーションがより多くの利用者を獲得する手助けもしているのだ。

充電ステーションを探してくれるEV ConnectのEVドライバー向けアプリ

EVドライバーはアプリ一つで充電操作を完了できるのが特徴で、測位機能に至近の使用可能な充電スタンドを速やかに検索した上で充電場所の予約ができるため、到着時にはスキャンしてすぐに使用を始められる。さらに、アプリを通じて充電状態を確認でき、充電完了直前にはスマートフォンに通知が来る。アプリによる決済もシンプルで、クレジットカード情報を登録しておけば充電完了時に自動で料金が引き落とされ、別途支払い手続きを行う必要もない。

EV Connectのジョーダン・レーマーCEOは、「EV業界において、閉鎖的なプラットフォーム上に分散した充電エコシステムを構築することは許されない」と述べている。同社は開放的で統合された、かつ環境に優しい充電ネットワークの構築に取り組んでいることが分かる。

現在、同社の主要顧客には、レンタカーサービスを手掛ける「ハーツ(Hertz)」、マリオット・インターナショナル、フードデリバリー「パンダエクスプレス」、米ロサンゼルス郡都市圏交通局(LACMTA)、米ニューヨーク電力公社(NYPA)などが含まれる。同社は今年8月上旬、ゼネラルモーターズとの提携を発表し、6000台分の充電スタンドに関する管理協定を締結した。同社のブランド「シボレー」の電気自動車Boltのドライバーに向けた充電サービスの改善を進めていく計画だ。

EVという人気業界のうち、同じく米国に拠点を置く充電設備管理ソフトウエア関連企業「Greenlots」は今年1月に石油会社ロイヤル・ダッチ・シェルに買収され、正式にシェルグループ傘下の子会社となった。Greenlotsは北米地域でシェルグループのガソリンスタンドを充電ステーションへアップグレードさせるサポートを行う。

またフィンランドの「Virta」は一般消費者向けのアプリを開発しており、充電ステーションの検索および充電スタンドの予約サービスを提供している。同社は現時点では主に欧州地区で事業を展開しており、6万カ所の提携充電ポイントを抱えている。

中国のEV業界も急速に発展しており、EVに直接関連した投資家のほか、集合住宅、百貨店、スーパーおよびオフィスビルでさえも便利な充電設備の併設をうたって誘客に取り組むようになっている。今後、EV Connectのようなソフトウエア業者により中国国内のサードパーティー充電設備の統合が進むかどうかに関し、その動向を見守りたい。
(翻訳・神部明果)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録