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ファーウェイは先月、ポルシェとのコラボによる限定版「Mate 30 RS」の発売を開始した。これまでと同じく高級感あふれるデザインで、価格も1万2999元(約20万円)と高額だ。用意された台数はほんのわずかで、一部都市では合計でも10台に満たないという。だがユーザーの熱気は高まっており、フリマアプリ「閑魚」での販売価格は2万元(約30万円)近くまで値上がりしている。Mateのポルシェコラボモデルの発売は今回で3年目となり、同シリーズの慣例としてブランドの象徴となりつつある。
当然ながら、メーカー側は限定版やコラボ版の販売台数には期待していない。望むのはブランドのプレミア感やイメージの強化だ。とりわけスマートフォン(スマホ)の同質化が進む昨今、ライバルとの差を付けるためにも、オリジナリティあるコラボモデルの重要性が高まっている。
スポーツカーとのコラボで売上拡大
携帯メーカーと自動車メーカーのコラボの歴史を振り返ると、フィーチャーフォン全盛期の2007年、モトローラがフェラーリとのコラボにより折りたたみ携帯「RAZR maxx V6」を早くもローンチしている。一方、中国においてスマホとスポーツカーとのコラボのトレンドを生み出したのはファーウェイだ。
ファーウェイがポルシェデザイン(ポルシェの付属品や関連グッズのデザイン会社)に接触を図ったのは2012年のことで、当時ハイエンド市場への参入を狙っていたファーウェイは、海外での知名度向上を強く望んでいた。その後2016年にようやく初のコラボスマホ「Mate 9」の発売にこぎ着ける。ポルシェの流線状のデザインがスマホのボディに取り入れられ、価格は8999元(約14万円)に設定されたが、同モデルはファーウェイも驚きの人気を博し、コンシューマー事業部の余承東(リチャード・ユー)CEOによれば予想の10倍以上の売れ行きだったという。
その後もファーウェイのMateとポルシェデザインのコラボは続いており、価格は上昇する一方だ。ポルシェコラボ版のリリースは、ファーウェイが自身のブランドトーンを引き上げる重要な一歩だったといえる。これにより欧州での販売も勢いづき、今年の一連の制裁措置前には、欧州での出荷台数は一時的に第2位となったほか、旗艦モデルの価格も1000ユーロ(約12万2000円)の大台を突破した。
こうしたファーウェイのうまい商売をはた目で見ていた他の携帯メーカーも、続々と後を追い始めている。
OPPOは「Find X」のランボルギーニ限定版を昨年発売し、価格はファーウェイのものより若干安い9999元(約15万5000円)に設定された。ボディにはランボルギーニならではのカーボンファイバーが採用され、エンブレムが刻まれている。
OPPO傘下の携帯メーカー「一加(ワンプラス)」も今年に入りマクラーレンとのコラボモデルをローンチし、特注のカバーも用意した。価格は5299元(約8万2000円)と一般ユーザーにも受け入れられやすい範囲に収まっている。
IPコンテンツで若者の人気獲得も狙う
ファーウェイやOPPOがスポーツカーとのコラボを果たす一方で、中価格帯のスマホではここ数年、IPコンテンツとのコラボがたびたび実施されている。
シャオミにスマホ事業を譲渡した「美図(Meitu)」は2017年にセーラームーンとのコラボによる限定版「M8s」を発売しており、スマホケースのほか魔法のステッキをモチーフとした自撮り棒やピンク色の自撮りスイッチもセットにした。2999元(約4万6000円)という安い価格設定が特徴であり、世界で限定1万台が発売されたが、中国では絶大な人気を博したという。
このほか、シャオミも同年に初音ミクとコラボした「Note 4X」をローンチし、1299元(約2万円)という低価格で動画サイト「ビリビリ動画(Bilibili)」経由で発売したところ、わずか1秒で完売となっている。またOPPOはガンダム40周年を記念する3万台の限定版「OPPO Ace」を3599元(約5万6000円)で発売し、これも大きな話題を呼んだ。
一方、シャオミはアート路線を選び、フランスのデザイナーであるフィリップ・スタルク氏とのコラボにより3000台の「Mix2」限定版を発売した。さらにMix 2sやMix 3では大英博物館に加え中国の敦煌研究院や故宮博物院とタッグを組み、同シリーズが狙う文化的なイメージともよくマッチしている。
とはいえ、結局のところこうしたコラボレーションは表面的な創意工夫でしかない。はじめはひとしきりの新鮮味を人々に与えたが、現在は著名なIPとの独占コラボでなければユーザーに見向きもされなくなっている。メーカーは自身の主力旗艦モデルで地位を守り抜くほかに生き残る方法はないのだ。
(アイキャッチ写真はファーウェイ公式サイトより)
(翻訳・神部明果)
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