バッテリー式園芸工具で欧米市場に攻勢。中国企業、スマート機能とサービスで差別化

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バッテリー式スマート園芸工具を手がける中国スタートアップ「労尼克斯科技(南京)」はこのほど、エンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達した。資金はコア製品の開発と改良、人材獲得、欧米市場でのマーケティングや販路拡大に充てる予定だ。

労尼克斯は2025年1月に設立。欧米市場を主要ターゲットに、高性能かつスマート機能を備えた電動工具および関連ソリューションの開発に注力している。

世界市場の拡大と電動化シフトが追い風

近年、世界の園芸機器市場は堅調な拡大を続けている。調査会社Global Market Insightsの調べによると、世界の芝刈り機・園芸機器市場は2023年の397億ドル(約6兆円)から、25年には454億5000万ドル(約6兆9000億円)に成長する見通しで、年平均成長率は約7%に上る。また、従来のガソリン式から電動式へのシフトが急速に進んでおり、調査会社TraQlineの統計では、リチウムイオンバッテリーを採用した園芸工具の市場規模が25年までに56億ドル(約8500億円)に拡大すると予測されている。

園芸工具のサプライチェーンは長年にわたり中国に集中しており、生産能力は世界の約7割、部品供給では約8割を占めている。一方で、中国ブランドの製品シェアは世界の1割にも満たないのが現状だ。しかし現在、欧米諸国で排出ガス規制が進んでいることに加え、中国のバッテリー技術や人工知能(AI)の進展を背景に、電動園芸工具産業が転換期を迎えている。

多様なラインアップ構築

労尼克斯は60Vのコードレス製品を中心に、芝刈り機、草刈り機、ブロワー、ヘッジトリマーなど主要カテゴリを幅広くカバー。バッテリーパックや充電器も含めたトータルソリューションを提供している。今後は20Vや40Vなど異なる電圧のプラットフォームの製品も打ち出し、全体で約20機種を展開する計画だという。

芝刈り機

同社は複数の機種にハードウエア構造と制御アルゴリズムの協調設計を施し、機能の向上を図った。芝刈り機にはターボファンを搭載し、刈った芝を効率的に排出して詰まりを防ぐほか、モーターおよび制御システムの放熱性能を高めて高温・高負荷の環境でも安定した出力を維持する。

草刈り機はモーター位置をハンドル側に移動して重心バランスを最適化。装着ブレードを自動識別し、回転数とトルクをリアルタイムで制御する。ブロワーにはプラズマ静電気除去技術を導入し、乾燥地や降雪時でも静電気の発生を抑えて快適な操作を実現する。

性能とサービスで差別化

労尼克斯の量産体制も整いつつある。すでに主要な金型が完成して、検証と耐久テストの段階に入っている。年内は出荷準備を進め、2026年2~3月にエンドユーザー向けの販売を始める計画だ。また、同社は業界平均を大幅に上回る6年間の長期保証を掲げ、性能とサービスの両面で差別化を図る。

ドイツのコンシューマーエレクトロニクス展「IFA 2025」の展示ブースにて

今後は、中短期に欧米市場での買い替え需要やハイエンドモデルの販売強化に注力し、長期的にはスマート機能を生かした新カテゴリー開発によってブランド価値の向上を図る。中国のサプライチェーンと開発スピードを武器に、高性能とサービス力を組み合わせることで、電動化が進む世界の園芸工具市場で存在感を高めていく方針だ。

*1元=約21円、1ドル=約152円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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