中古品販売プラットフォーム「只二」:「日本のモデルは成熟しているがそのまま真似できない」

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2019年11月26日〜27日、スタートアップやIT業界に特化した中国の最大級メディア「36Kr」は、北京国際会議中心(China National Convention Center)において「2019WISE 新商業大会」を開催した。本大会では13会場に100人以上のニューエコノミー関連企業の代表者を招き、新たな技術、新たなシナリオが既存産業を根本から覆し、再構築する様子に注目している。また同時に、世界のスタートアップ・大手IT企業・投資機関・地方政府・既存型企業など、未来に向かって着実に歩み続ける各当事者の成長や実績にフォーカスしている。

中古品売買プラットフォームはここ数年、中国市場におけるブームとなっており、代表的なプラットフォームは大きく2つに分類される。1つは男性を主なユーザーとするブランドスポーツシューズを扱うプラットフォームで、「毒(POIZON)」、「nice」などが代表的なプラットフォームである。もう1つは女性のファッション用品をメインにした中古ブランド品を扱うプラットフォームである。今年7月にシリーズBで数千万ドル(数十億円)を調達したばかりの「只二」は、後者のプラットフォームの1つだ。「只二」を手掛ける「只二網絡科技(Shanghai Zhier Network Technology )」の創業者である祝泰倪氏は「2019WISE 新商業大会」において、中古品取引市場に対する考え方と「只二」の方法論を参加者と共有した。

それに先立ち36Krは祝泰倪氏にインタビューを行った。下記はそのインタビューの内容を編集したものである。

ーー現在、多くのブランド品を扱うプラットフォームが地方都市のユーザーを取り込もうとしています。以前は、ブランド品とこのような地方都市の市場は無縁のものだと思っていましたが、このような状況をどう考えますか。

「地方都市の市場というのは、多くの場合においてローエンドな商品をそろえ、客単価も低く設定すべきものと考えられている。しかし私たちの経験からすると、少なくとも私たちが手掛ける中古ブランド品の取引においては、地方都市の市場だからといってローエンドであったり客単価が低いということはない。1つのデータを紹介すると、タオバオのライブコマースの中で、中古ブランド品カテゴリに参加するユーザーの大多数は三~六級都市に住んでいる。ライブコマース方式の中古ブランド品販売は客単価がとても高い。私たちのプラットフォームの客単価は1000元(約1万5000円)程度だが、ライブコマースの客単価は5000元(約7万5000円)にもなる。ライブコマースを通じて販売を拡大していくのは1つの方法だと考えている」

ーーユーザーがブランド品に対して意識を持つようになったのは理解しましたが、ではなぜ今中古ブランド品が成長市場なのですか。

「実際のところ、新品のブランド品市場も減速してはいない。昨年、世界の3分の1のブランド品は中国によって買われている。ではなぜ中古のブランド品市場が盛り上がっているのかに関しては、私が思うに、中古ブランド品を通じて、消費者は初めて自分の欲しいブランド品に手が届くようになった。消費者というのはコストパフォーマンスに対して高い要求を持っている。コストパフォーマンスが高いというのはどういうことかというと、価格が安くてレベルが高い、ということである。私たちは鑑定、値付け、リペアなどのサービスを通じてユーザーが中古ブランド品に抱く心配を解消し、ユーザーが状態の良いものを安く買えることを保証している。これがつまりコストパフォーマンスが高いということだ。このような理由から消費者は中古ブランド品というマーケットにアクセスし始めたのだ」

ーー中古ブランド品の取引の中で一番大きな悩みは何ですか。

「一番の悩みは、ユーザーが買い手として買ってくれないことではなく、ユーザーが売り手としての意識にまだ目覚めておらず、供給側に大きなギャップがあることだと私は思う。このため、個人の売り手市場を育成し充実させるために、売り手の心配を解消して最初の一歩を踏み出せるよう、売り手の立場に立って考えていくことが必要だ」

ーー中国では中古のブランド品市場はまだ始まったばかりです。日本のような成熟した中古品市場を形成するためには、どのようなルールが必要だと考えますか。

「多くの人が日本の中古品市場を比較に挙げるが、実際のところ細かい点まで見て比較してはいない。日本が現在のように比較的成熟した中古品市場を形成しているのは、経済の最盛期から衰退にいたる過程の中で、市場に中古ブランド品の余剰があり、また日本は極めて信頼とルールを重んじる社会であるという理由がある。この2つの基礎は中国にはない。このため中国の中古ブランド品市場の発展過程において、日本をそのまま真似することはできない」

「中国の中古ブランド品の台頭にはいくつかの理由があると思うが、一番大きな理由は、中国人がブランド品を買うようになってすでに10年が経ち、人口も多いため、これまでに購入されたブランド品の一部について、持ち主が売りたいというニーズがあることだ。ブランド品を売りに出す時、売り手は効率が高くサービスの良いルートを選択する。私たちは売り手に私たちの存在を知ってもらい、私たちのサービスを利用してもらうように働きかけていく」

ーー只二は買い取り、鑑定、販売という1つの完結したプロセスを持っていますが、これ以外に中古ブランド品市場のサプライチェーンにおいて只二が関われる部分はありますか。

「中古ブランド品市場には他にも拡大可能なサービスがある。最も直接的なのは、リペアである。ユーザーが購入した中古ブランド品に対して、より充実したリペアサービスを提供すれば、ユーザーは購入した状態よりも更に良い状態のブランド品を手に入れることができる」

「拡大可能なサービスはいろいろあるが、私たちは自分たちのすべきことに集中したい。成功するプラットフォームにおいて一番重要なのは、何をするかを選択するのではなく、何をしないかを選択することである。もっとも力を入れているのは、只二に対する明確なイメージをユーザーに持ってもらうことだ。アーリー~ミドルステージのスタートアップにとっては、サプライチェーンが広ければ広いほど良いというものではなく、コア業務の各プロセスを深く構築していくことが重要だ」

ーー中国には鑑定士を評価するシステムもなく、育成システムもありません。どのようにして鑑定士を育成していこうと考えていますか。

「現在私たちが行っているのは、全ての鑑定士に私たちが整理したブランドの鑑定ポイントを勉強してもらい、理論や知識に関する筆記テストを合格したら、実務テストを受けてもらうという方法である。筆記テストと実務テストに合格して初めて初級鑑定士になれる。初級鑑定士が鑑定した商品は高級鑑定士が再鑑定を行う。全ての鑑定士の正確性と効率はデータとして記録され、2度の四半期連続で鑑定の正確性が98%を下回ると、鑑定士としての資格を失う」

「私たちは内部で鑑定士の育成システムを構築しており、このような取り組みをしているプラットフォームは少ない。只二は毎日の流通点数が1万件を超える中古品プラットフォームであり、鑑定士に最高の実地訓練の場を提供し、鑑定士が成長するための条件を備えている。私たちは鑑定士システムを構築し、データを通じて鑑定精度を絶えず向上させている。将来的にはAIのような新しい技術を利用して、鑑定サービスの充実と精度を向上させることを考えている」
(翻訳・普洱)

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