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中国家電大手の美的集団(Midea)が2018年に立ち上げたハイエンドスマート家電ブランド「COLMO(コルモ)」は、今年夏に開催された「世界人工知能大会(WAIC 2025)」で、全方位型AIソリューション「COLMO AI HOME」を発表した。
さらに、スマートホーム分野で初めて実用化されたAIエージェント「COLMO AI」も同時に公開。高級家電単体でのスマート化から、AIエージェントによって家全体が自律的に意思決定担う“自律型スマートホーム”の時代へと進化しつつある。
自ら考える「AIコンシェルジュ」
COLMOの「TURING(図霊)」シリーズは、空調や冷蔵庫、洗濯機、オーブン、食洗機など11種類の家電を一括管理することで、インテリジェントな暮らしの空間を演出する。COLMO AIが持つコミュニケーション能力や思考力、サービス力により複数のデバイスが協調して稼働、自律的に意思決定し、家全体をスマート化して管理する。
COLMO AIは室内外の気温・湿度、PM2.5、二酸化炭素、揮発性有機化合物(VOC)、ホルムアルデヒドなどのデータをリアルタイムに取得したうえで、ユーザーのライフスタイルと環境適応アルゴリズムに基づいて、関係する設備をコントロールし、室内環境を管理する。
梅雨時には室温を20度、湿度を40%以内に保ち、快適な環境を維持する。新居への入居時に揮発性有機化合物やホルムアルデヒドが基準値を超えていれば、空気清浄機を動かし、空気を循環させて体にやさしい環境を維持する。さらに、寝る前に「ハイCOLMO、寝るよ」と一声かければ、寝室の温度と湿度を最適な状態にしてくれる。
声で指示するこれまでのデバイスとは異なり、AIコンシェルジュは記憶力と予測能力を備え、家族一人一人で異なる生活習慣を記録できるのが特長だ。基盤になるのは自社開発の大規模言語モデル、社外の汎用大規模言語モデル、家電のナレッジグラフの3つを組み合わせた混合アーキテクチャで、自然言語やジェスチャー、表情の3種類で対話が可能。
課題は家庭内の複雑なシーン
家庭用のAIエージェントを実用化するには技術面で多くの課題があった。美的集団AI研究院の院長は、「家庭内の環境は単一のデバイスに比べ格段に複雑なので、AIモデルを融合させ、それぞれのシステムが個別に動いている状態から脱することがポイントになる」と指摘する。
COLMOのソリューションはエンド・ツー・エンドのシステムを統合することで、ユーザーニーズを正確に理解し、生活パターンに基づいて予測的に判断し、ユーザーによるモデル訓練で継続的に学習する、という3つの重要技術を実現した。これにより、さまざまなタイプの住宅やプロトコルの違うデバイス、家族ごとの異なるライフスタイルに適応することができるようになる。
ハードウエアの面ではスマート家電用に、カテゴリ別のエッジAIアルゴリズムを搭載し、継続的に進化するローカルAI頭脳を構築する。ソフトウエアについては、新たに開発した「NEXUS(天枢)」プラットフォームで外部の汎用大規模言語モデルと自社開発の家電用AIモデル、人・車・家をつなぐエコシステムの連携機能を統合した。
こうした技術はCOLMOブランドのTURING、「EVOLUTION(新象)」、「AVANT(叡極)」という3つのスマート家電シリーズに組み込まれており、「機能を備えたツール」としての家電から「自ら考えて動くAIエージェント」へと姿を変えようとしている。
家庭に溶け込む人型ロボット
COLMOは、家庭における人型ロボットの活用領域拡大にも取り組んでいる。
WAIC2025では、人型ロボットが中央制御ディスプレイからTURINGキッチン全体を起動し、冷蔵庫の開閉やコーヒーの抽出などを音声指示で操作するデモが披露された。この人型ロボットは年内にも美的集団のスマートホームショールームに導入され、来場者の案内や家電操作の実演などを担う予定だ。
AIエージェントによって人・車・家をシームレスにつなぐという、美的集団の新戦略「全屋智能(Whole-Home Intelligence)」を統括する尚喆氏は、技術の進化とともに利用シーンはさらに広がり、未来のスマートホームは、より人に寄り添い、生活者一人ひとりに合わせた存在になるだろうと語る。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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