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動画投稿プラットフォーム「TikTok」を運営する中国テック大手・バイトダンスの創業者、張一鳴氏が、久しぶりに公の場に姿を見せた。10月9日に上海・徐匯区で開業した「知春創新中心(Zhichun Innovation Center)」のオープニングセレモニーに出席し、その動向に再び注目が集まっている。
同センターは張氏と上海交通大学の兪勇教授が共同で設立したもので、16~18歳の若手を対象に、常勤予備研究員として毎年30人を受け入れ、コンピュータサイエンスや人工知能(AI)分野の次世代人材を育成する。張氏は式典で、「若い世代の潜在力を最大限に引き出し、次世代のテクノロジーリーダーを育てたい」と述べた。
張一鳴氏は2012年にバイトダンスを創業し、ショート動画アプリ「抖音(Douyin)」およびその国際版「TikTok」の成功で世界的に知られる存在となった。しかし2021年に38歳という若さでCEO職を退任。以降は表舞台から徐々に距離を置き、教育支援や基礎研究分野への投資に力を注いでいる。
表立った活動は少ないが、バイトダンスのAI戦略には引き続き深く関与しているとみられる。近年、同社はAIを新たな成長エンジンと位置づけ、幅広く投資を拡大している。
公開情報によると、バイトダンスのAIに関連する投資額はこれまでに1000億元(約2兆1000億円)以上に達しており、AIインフラからクラウドサービス、生成AIまでを包括するエコシステムを形成している。中でも、企業向けクラウドサービス「火山引擎(Volcano Engine)」やAIアシスタント「豆包(Doubao)」などが、いずれも強い競争力を示し、同社のAI戦略を支える中核プロダクトとなっている。
中国の経済誌「新財富」が6月公表した「2025年中国富豪トップ500」(保有株の時価総額・評価額に基づく推定資産をランキング)では、張一鳴氏が4815億7000万元(約10兆円)の資産で、飲料水大手・農夫山泉(Nongfu Spring)の創業者、鍾睒睒氏を抑えて首位に立った。
*1元=約21円で計算しています。
(36Kr Japan編集部・茶谷弥生)
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