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開発者、デザイナー、クリエイターをターゲットとしてきたアップルのPC「Mac」は、これまでゲーム市場に本格的に対応したことがなかった。Macでは、ゲームのプレイ中にコマ落ち、発熱、マウスの加速が起こることがある上、ゲームの本数がマイクロソフトのWindowsよりも少ない。しかし最近のニュースによると、アップルも積極的にハイスペックなPCの開発に取り組んでおり、それをもってeスポーツ市場への参入を計画しているという。
アップルの特許関連情報などを伝えるニュースサイト「Patently Apple」は台湾の情報筋から得た話を引用し、アップルが2020年にeスポーツプレイヤー向けゲーミングPCのリリースを計画していると伝えた。価格は最高5000ドル(約55万円)に上る見込み。アップル初のeスポーツ市場参入となる。
サプライチェーンの関係者は、アップルの新製品がディスプレイ一体型の「iMac」もしくは大画面ノートPCとなる可能性があるものの、現時点で詳細は分からないと話した。この新製品は、アップルが今年6月に開催予定の「世界開発者大会(WWDC)」で発表される見通しだ。
eスポーツ市場には大きな収益が期待できる。ゲームやeスポーツの分析調査会社「Newzoo」が発表した「2019グローバルeスポーツ市場レポート」によると、2019年の世界のeスポーツ売上高は前年比26.7%増の11億ドル(約1200億円)と、初めて10億ドル(約1100億円)の大台に乗った可能性があるという。うち中北米の売上高は4億1000万ドル(約450億円)、中国は2億1000万ドル(約230億円)に上る見込み。
Patently Appleによると、業界では高価格の新製品によって、「広達電脳(Quanta Computer)」、半導体の「台湾積体電路製造(TSMC)」、PCケースの「科誠(GoDEX)」、バッテリーの「デルタ電子(台達電子 / Delta Electronics)」と「ライトン(Lite-On)」、冷却ファンの「建準電機(SUNON)」などアップル・サプライチェーンに連なるメーカーの粗利益率が上がるとみられている。
一定基準を満たすゲーミングPCを開発するのは簡単ではなく、ポータブル性とデザインを重視してきたアップルにとってはなおさらだ。グラフィックカードの再調整、CPUの性能向上、マウスとキーボードの設計見直しに加え、ゲーム開発業界に対するアピールも必要だ。アップルのmacOSが、Windowsと同様に重要なオペレーティングシステムであるとゲーム開発者から認識されるには時間を要するだろう。
すでにアップルは、簡単な方法によってゲーム業界でテストを始めている。2019年9月にiOS 13をリリースすると、ゲームのサブスクリプションサービス「Apple Arcade」を開始。iPadOSとtvOS 13のどちらでもプレイできる100本以上のゲームを提供している。同10月8日には、macOSとして16番目のメジャーバージョンとなる「Catalina」がリリースされ、全てのアップル製品のユーザーは、スマホ端末はもちろん、タブレットPCやノートPCでもApple Arcadeのサービスを利用できるようになった。
Apple Arcadeは現在、アクションゲーム、アドベンチャーゲーム、パズルゲームを提供しており、オフラインでもプレイが可能だ。また、いくつかのゲームはマイクロソフト「Xbox」のワイヤレスコントローラーやソニー「PlayStation」のDualShock 4、アップルのMFiゲームコントローラーにも対応している。
スマホ端末でもシンプルなゲームならプレイできるが、ゲームの臨場感を味わったり激しい戦闘ゲームをプレイするにはハイスペックなゲーミングPCが必要となる。
アイキャッチ提供:visualhunt
(翻訳・神戸三四郎)
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