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商用衛星などの宇宙航空事業を手がける「零重力実験室(ZeroG Lab)」が、最新の投資ラウンドで数千万元(数億円)を調達したことが分かった。出資を主導したのは広州産業投資基金管理(SFUND)傘下の「広州市新興産業発展基金管理」で、既存株主の「華訊方舟(China Communication Technology)」など複数の投資機関も出資に加わった。資金は衛星関連製品の研究開発と製造、衛星関連データサービスおよびマーケティングに充てられる。
零重力実験室は中国の商用ナノサット(超小型衛星)システムにおける中核サプライヤーであり、リモートセンシング・データの運用サービス事業者だ。2016年10月に設立され、北京本社のほか深圳に支社を持つ。技術チームには宇宙航空システムの各分野で経験を備えた人材を揃える。
同社の主要事業はキューブサット部品の開発・製造、衛生関連のソリューション提供、衛星打ち上げロケットへの搭載手配など。商用衛星の国産化を実現した宇宙航空企業であり、すでに複数回の軌道上引き渡し(DIO)を行っている。中核コンポーネントの開発・製造、データ業務が主な収益源だ。
「衛星の打ち上げを通じてデータを取得する」との開発プロジェクトのもと、零重力実験室は昨年1月より完全自主開発による高時間分解能の衛星コンステレーション「霊鵲星座(Lingque Constellation)」を配置した上で、高頻度かつマルチソースでスマート化された時空間データサービスシステムを展開し、中国国内の複数の市・県に衛星リモートセンシングによる監視・管理サービスを提供している。
霊鵲星座プロジェクトは、零重力実験室と出資者の一つである華訊方舟が共同で立ち上げた。零重力実験室の蘭利東董事長によると、霊鵲星座は米Planet Labs社による低軌道衛星コンステレーション「Dove」をベンチマークとし、6Uサイズのキューブサット132基で構成される。高時間分解能を備えた観測能力により、12時間で全球観測を行える。
データ活用については、受信・処理・配信の全プロセスを「アリババクラウド(阿里雲)」に委託している。現在、衛星データのほとんどは都市ガバナンスに活用されており、今後は衛星データの提供を通じてより専門的な支援を行い、都市ガバナンスに関する立案や意思決定に役立て、さらなる開発の可能性や価値の向上をもたらすことを目標としている。将来的に製品の完成度が上がれば、農業、防災、河川流域の管理などにも応用できるという。
零重力実験室は昨年、霊鵲星座の初の打ち上げに成功した。手がける事業は衛星の開発・製造から高頻度リモートセンシングの活用サービスへ広がり、年間契約額は1億元(約16億円)を越え、前年比400%の高成長を遂げた。事業提供エリアは広東省、河北省、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区と拡大している。
業界最大の成功者といえるPlanet Labsの成長の道のりをみると、事業のクローズドループ・資金・技術・運用保守・顧客のどれか一つの要素が欠けても事業は成り立たない。中でもコストコントロールは重要なカギを握る要素だ。この面では零重力実験室には独自の強みがある。キューブサットを構成するほとんどのコンポーネントやシステムは自主開発でまかなえるからだ。さらに衛星の開発、製造、関連ソリューションにいたるまで、自社でほとんど完結できるという。
近年の中国では小型衛星を手がける民間のスタートアップ企業に多くの資金が集まりつつある。中でも零重力実験室は衛星コンステレーションによるリモートセンシングを提供できる数少ない企業だ。今後はいかに初期資金を回収し、持続的な事業スキームに昇華できるかが多くの企業にとっての最重要課題になるだろう。
(翻訳・愛玉)
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